その瞳に何を映す?⑦パズル
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こそこそと今後の動向について話し合い、方針を決めたところでヒロが戻ってきた。
遊び道具は宙に浮いてヒロに追従している。
ポルターガイスト。
手を触れずして物体を動かせる心霊現象の一種。
(どうやらあれは無意識で行えているようですね。しっかり自分の力として認識できています)
心美はその心理状況を読み取って、ヒロが手足を動かすのと同じようにその力を行使していることを知った。
このような情報も集めておけばどこかで役に立ち、何かしらの考察のカギとなる。
心美はどれだけ怖がっていて幽霊を恐れていても、その瞳さえ開いていれば得られる情報が多くある。
見逃しのないようにしっかりと目を凝らす。
「わぁ、たくさんありますね! どれから遊びますか?」
「うーん、僕これがいい!」
アオバが尋ね、ヒロが選んだのはパズルの箱だった。
アオバがそれを手に取り箱を開くと中からパズルの枠と木製のパズルのピースが出てきた。
ヒロはさっそくそれを謎の力で動かしてはめていく。
幸いにも初心者用なのか枠にはめるピースの形が書かれていたためそれほど迷うことなくスムーズにはめていく。
「これは、ここ!」
「おっ、すごいですね。あ、これはここじゃないですか!」
「うん! アオバお姉さんも上手だね」
既に打ち解けているアオバはヒロと仲睦まじくパズルを完成させていく。
その様子はまるで本当の姉弟のようで、心美は自分が手を出さなくとも進んでいくパズルを眺めていた。
だが、少しして好調だった手が止まった。
「あれ? ピースがいくつか足りないみたいですね。これでは完成させられません」
「えっ、困ったな……」
「どうします? 一旦パズルは置いておいて他のもので遊びますか?」
「ここまでやったし完成させたいな……。残りのピースを探すよ」
ヒロは完成を諦めて他の遊びに移るつもりはないようで、探し始めた。
その様子を見てアオバは心美の見て判断を仰ぐ。
「彼に従いましょう」
ヒロの心に沿った行動を取る。
心を読める心美がそう判断したのだから、アオバもそれに従うまでだ。
アオバもヒロについていき、ピースを探し始めた。
しかし、いつまで経っても一向に見つからないようで二人は気を落として戻ってきた。
そんな二人に素朴な疑問を一言。
「残りのピースは確実にこの部屋にあるのですか?」
「……ないかもしれない」
「足りないピースの数は?いくつですか」
「えっと、三つだよ」
その時ヒロの頭をよぎったのは、このパズルをこの部屋から持ち出して遊んだことがあるという朧げな記憶。
この場にないものを必死に探しても見つかるはずもなく、心美の一言でその可能性の思い至ったアオバはがっくりと落ち込んだ。
「三つですか。どうしても続きをやりたい……というなら私が探してきてもいいですよ。私……探し物は得意なので」
「うん、お願いするよ。あ、でもあんまりあちこち荒らすのはダメだからね」
「分かっています。そんなことしませんよ」
そう言って心美は乱雑におもちゃが散らかされている床から立ち上がる。
探し物は得意。
広い館といえど、己の瞳にかかれば見つけ出せる自信があった。
「では私は探してきますので少々お待ちください。アオバ、任せましたよ」
「はい! 任されました!」
ココミの視界からすっとヒロの姿が消える。
開く瞳の交換。
霊視の瞳を閉じて、その代わりに千里眼の瞳を開いた心美は、探し物を見つけるために目を閉じるのだった。
もうすぐ投稿から二か月経つと思うと感慨深いです……!
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