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お勉強タイム

 レヴィン家の当主であるオリバーが正式に許可を出し、心美はレヴィン家の世話になることになった。

 このことを一番に喜んだのは本人である心美ではなく、心美の滞在をオリバーに最も推していたルチカ。


「やったね、ルミちゃん。ココミと一緒だよ」


「そうですね。こうして出会えたのも何かの縁。私も助けになるのでいつでも頼ってください」


「ありがとうございます。困ったときは頼らせてもらいます。それにしてもルチカちゃんは令嬢様でしたか……。ルミナスさん、大切な御令嬢から目を離しちゃダメじゃないですか」


「う……面目ないです」


 そもそもの話、ルミナスがルチカをしっかり監督できていればこのようなことにはならなかった。

 だが、その場合は心美がルチカと出会うこともなく、レヴィン家に取り次がれるということもなかったかもしれない。


 そう考えると監督対象から目を離したことはいただけないが、ある意味ではファインプレー。

 そんな打算的な考えは口をつぐんで漏らさないでおく。


「ではさっそくですがどこか本がたくさんある場所はありませんか? 少し調べ物をしたいのですが……」


「なるほど、ココミさんの現状から考えたら、情報を集めるのが先決ですか。それでしたらこの屋敷の書物庫に案内しましょう」


 いつでも頼っていいと言うルミナスの言葉に甘えて、心美はさっそく頼みごとをする。

 目的は学習。


 分からないことがあれば学べばいい。

 故に望むのは書物の多くある場所。

 その意図に気付いたルミナスは心美の望む提案を申し出る。


「ありがとうございます。ですがいいのでしょうか? たかだか居候の分際でこのお屋敷の施設を勝手に使って……」


「心配ご無用です! 御当主様も仰っていた通り、困った事は何でも言ってください」


 もちろんどこかしこもが使い放題というわけではなく、使用禁止、立ち入り禁止な場所もあるようだが、それ以外は心美に協力的だ。

 オリバーの協力を惜しまないという言葉は嘘ではない。


「それでは行きましょう」


「おー!」


(あ、ルチカちゃんも来るんですね)


 ♡


「すごいですね」


 心美が案内された書物庫は想像していたよりも広く、たくさんの本棚がずらりと並んでいた。

 学校の図書室くらいの気持ちでいた心美は驚きに目を丸くしている。


「私もたまに薬関連の本を読みに来ますけど、広いですよね」


「これでは読みたい本を探すのにも苦労しそうです」


「ああ、それなら心配いりませんよ。ここには優秀な司書さんがいますから」


「司書?」


 本を所望したが読めれば何でもいいという訳ではない。

 これだけ広大な書庫であれば求める書物を見つけるのも一苦労だと気の遠くなる心美に、その心配はないとの言葉。

 その言葉の意図はルチカが補足してくれた。


「キリちゃんはどこに何の本があるのか覚えているの! だから私が読みたい本もすぐ見つけてくれるんだよ!」


「へえ……これだけの本の所在を覚えて管理しているのですか」


 素直な称賛。

 小さな本棚に並べられた本を覚えているのとは訳が違う。

 そんな人物ならば自身が望む本をすぐに見つけてくれるだろうという期待を持って安堵する。


「ではこれからその司書さんのところへ?」


「はい。見つかりました」

 ルミナスが足を止めて視線を向けた先。

 そこには片腕でいくつかの本を抱え、もう片方の手で本を棚に戻す少女がいた。


「お嬢様にルミナス……それとお客さんかしら? 誰だか知らないけど本を読みたいなら歓迎するわ」


 知的な雰囲気を漂わせる蒼髪の少女は、歓迎の言葉を口にして薄く微笑んだ。


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