第 五 回
先生には負けられない。俺は上へと高く、進んだ。
天井を突き破り、屋上まで行った。
「兼芽子先生、数学はダメでも俺の身体実はかなりでっかいだろ」
俺はできないこともいっぱい、あったりするけどそれだけじゃないって、分かった。
「中々、やるようね。先生、少し見直した」
兼芽子先生は真面目に感心をして言った。ろくろっ首が徐々に縮んで元の長さに戻った。微笑んだ。
俺から少し距離をとっている。大人の冷静な先生だ。
兼芽子先生は俺に、抱きついてきた。まだ、よく分からないのだがこれは恋愛っていうものではなく友達って感じだった。この瞬間だけ、同級生になっている。
今だけ、もしかしたら永遠にもうないかもしれない。子供の先生は。ガキになるときが大人でもあるのだ…。滅多にないかもしれないけど。子供状態の先生を呼び覚ましてしまったのだ。ただ妖怪の力で不安定になってしまったのだろうかと、俺は、感じた。
俺は、先生を抱きしめた。
「急太。ごめんね。先生、ろくろっ首をやめるわ」
「えっ…」
先生は大粒の涙を二つ、三つこぼした。
続く