第 二 回
兼芽子先生は教える上手さに定評があって、どんなに酷くても必ず赤点二回まででいい成績を取らす天才と言われていたらしい。
でも、得意じゃない科目とかイケナイだろうけど居眠りしてしまったりとかアルのでは。
そりゃあ、なんだって完璧にできたらすごくいいけどさ。亀とかペンギンとか陸の上では遅いけど、水中の中では、クッソ速かったりするじゃん。勘弁して欲しいな。やっぱ物事、バランスというか。
難しい科目って何かを隠されているんだろうか、俺的な感じの人間に知られてはいけない秘密が実は数学好きな人間は持っていた、とか…。古い時代決して普通のやり方では解決できない、複雑な難しい問題があった。ってなると、問題は深い。
まあ、だけど結果俺は三回、赤点を取った。つまり、教える先生よりも、俺は悪い成績を得る天才だったということ。
もちろん、なんの自慢にも、ならないんだよ。
兼芽子先生は震える。目に、恐ろしい光を宿しながら。
「急太。どうやったら、あの分かりやすい授業とあの要点の分かりやすいプリント。おまけに二回目のときは補足をするためのミニ授業。宿題まで理解できやすい過程であなたのために見繕って出したってのになぜ三回目も失敗をした。許さん、屋上からロープで吊るしてやるっ」
怖っ。発言ヤバッ。なんとなく、本気で危なそうな気がして信じられん。
ヒュードロドロ。
青や朱の色へ変化をしながら二つの人魂が無秩序に動いて回った。
先生の目線は冷たい、目のビームのようだ。寒気がする。真夏にやってくれよ、そうすりゃ快適なのに。何て言ったら、さらに怒りの炎がものすごく、激しく燃え上がるんだろうな。
気を、付けないと。
先生の首は紙とかプラスチックのコップがあるだろう。使い切りができるヤツ。
アレを重ねていった風に見えた。
コップから、コップがはえ伸びていった。その上には顔が載っている。首はずっと伸び続ける。
現実は思い通りに止まっては、くれない。本当の、事実をごまかしている限り苦しみは永遠に切れないはず、決まっている。
妖力で俺の身体の肉は吹っ飛びそうだ。それこそ、数学の仮定や代入で袋小路のペシャンコだ。
妖怪は古くからいた。江戸時代とか、もっと昔だと平安時代。絵とか伝説も残っていたりする。人間は滅んでなどいないだろう。
逃げなくてはいけない、上手く。一度発覚を放棄をするんだ。空間を作る。数字に入る前に、倒す。
理路整然の背後に、入っていかなければいけない。
走れ。
先生は、追かけてくる。
続く