4. 枝園縁の退勤(1)
「お大事に。よし、これで今日は終わりか」
さらに1週間後。業務が終了して、医院を閉める準備をする。業務連絡、諸連絡をして、帰宅準備をすると、菱醍が声をかけてくる。
「先生、報告したいことがあるのですが、帰る前に少しお時間よろしいですか?」
「なんだ?手短に済むものなのか?」
「そうですね、一応先生にも伝えておこうと思いまして…私、相生さんとお付き合いさせていただいていたのですが」
あー…。
「結婚でもするのか?」
彼女の話を遮って先に言う。
彼女は少し戸惑ったように、しかし顔を赤らめて頷く。
「ふむ、付き合いだしから…2か月といったところか?とにかくおめでとう。式はいつなんだ?」
先回りして次々言葉を連ねる。ここで嫌がるような者は多いが、私はこんな感じなので仕方ない。
「ああ、式は二人が落ち着いてからと…ええと、全部いわれちゃいましたね。」
彼女はバツが悪そうにそう言った。
「先生は何でもお見通しですね。それで、ありがとうございました。」
「俺は何もしていないさ。そうか…忙しくなるな…分かったよ」
くっついてしまったか…俺としては少々患者の相談に乗りすぎてしまった…のか?
いやいやいやいや、3度程度では乗りすぎということもない…というか患者ですらないのに3回は…むう…。
自分の蒔いた種も混じっているこの状況に、頭を抱えつつ、今は素直に応援できなかったのに感謝の言葉を受ける自分が恥ずかしかった。




