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図書委員会の委員長(仮)  作者: けい
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図書室規則

図書室規則

1.図書室は学校から独立した機関である

2.図書室は生徒の知る権利を保障する

3.図書室は政治的に中立である

4.図書室は図書委員選挙によって選出された図書委員によって運営される

5.司書は学校によって任命されるが、図書委員会の3分の2が罷免を希望した場合に開くことができる臨時生徒総会によって、生徒の半分が罷免を希望すれば、司書を罷免できる

6.図書委員会は上の項目を守るために存在する


〜これは、図書室規則を作ったとある中高一貫校の図書委員会の活動記録である〜


「来年度から、学校の時定が大きく変わる」

このような噂が3月上旬のSNSを飛び交った。保護者会で親が言われてきたそうだ。情報が錯綜している。それでも、要約すると、

「始業時刻を5分早める、その代わりに、終業時刻を30分早める。完全下校時刻は従来の17:45から16:30へと短縮される一方で、強化部が作られる」

こんな感じだ。

来年は6年生、すなわち卒業生である僕には関係ないことだと、考えていた。その時までは。でも、僕は一つ失念してた。僕が図書委員会の委員長だってことを。

僕が図書委員会の委員長になったのは、ただ単に、成り手がいないという理由だった。図書委員会というのは、僕の学校における「最も楽な委員会」と言われていて、ほぼ全員にやる気が欠如していた。仕方ないことだ。僕の学校では中学と高校、それぞれに独立した図書委員会があり、図書室業務は中学の担当だからだ。高校の図書委員会には、ポスターや図書便りを作ることしかできない。

結局、学年一、本を読むと自負する僕に、委員長が回ってきた。断ることはできない。僕のスクールカーストは、そこまで高くない。中学のときに比べれば、大幅に上がっているのだが、クラスの中心には居られない。まぁ、委員長というのは、対外的にプラスに働く価値があるものだから、そこまで断る必要はない。そんな風に理屈を立てて、引き受けた。

さて、引き受けた以上、図書委員会を変え、意義のある委員会を目指すのは当然だろう。でも、スクールカーストの真ん中くらいに位置する僕は、サボろうと図書委員になった、クラスの中心にいる人たち、すなわちスクールカースト上位に命令できない。結果的に、お願いという形で、それとなく職務を果たしてもらうことにした。でも、楽という理由で図書委員となった人が、働くわけがない。結局、委員長の僕が尻拭いし、一人で、図書便りを作成し配ることになった。

象徴的な出来事がある。担当の先生がいくら待っても現れない、ある日の委員会。先生が来る前に始めた。すると、みんなが

「もう、やることないんだったら、さっさと終わらして」

と言ってきたのだ。もちろん、やることなどあるわけがない。かといって、その時にやったのは挨拶くらいだ。仕方なく、各学年のポスターと図書便りの進捗状況を確認し、すぐに終わらした。かかった時間は僅か3分。こんな図書委員会なのだ。

先生までもが「この委員会に存在意義があるのか」と問いかけてくるほどの、酷さとなったのだ。結局、その責任は全て僕に帰するものとなった。誰も、先生の話を聞いて、仕事をしようと考える人はいなかった。でも、先生は今までからの向上を求めた。仕方なく、僕が全てを引き受けた。

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