レシピ6.ジャンバラヤ
(今日はジャンバラヤー♪)
檀はファミレスメニューやコンビニ惣菜が大好きだ。
・・・目新しい、と言った方がいいのかもしれない。
実家では大抵和食であったし。
アゴだしに鰹節を毎日削った味噌汁。取れたての魚や野菜。昔ながらの工法と材料で作られた調味料達。そんなものを食べて育った。
しかし、そのおかげで舌は肥えている、とわかったのは会社に就職してからで、ジャンクフードを食べるうち”自分は贅沢な暮らしをしていたのだな”ということを実感した次第だ。
極力、自分で作る時は調味料を厳選するようにはしているが。
ジャンクフードの味に、まだ興奮している状態である。
学生の頃はかつかつで、ファミレスもコンビニ惣菜も贅沢品であった。
給料を貰って、初めて、外食を体験している。
それらの中で気に入ったものを、再現して作ってみている。
割と作るのは、ブロッコリとエビのタルタルサラダとか。
ひじきと枝豆の和風サラダ、牛肉とごぼうの卵とじ。
そして今日のメニューのジャンバラヤだ。
(チキンライスに豆板醤を入れると、ジャンバラヤちっくになるなんて、我ながら大発見だよね)
ファミレスで初めて食べた時、そのピリ辛さにトリコになってしまった。
・・・自宅で作れるなど、想いもよらなかった。
ある時購入した唐揚げが1人分には多過ぎて3人分には少なすぎた。
そこでピラフに混ぜることにした。油ににんにくを入れて香りをつけ、ライスを炒めてMIXベジタブルとケチャップ、塩、コショウを混ぜ込んだのだが、パンチが効いていない。
「うーん・・・」
(なにせ、集りにくる欠食児童ときたら、すぐ『パンチが効いてない』と言いだすのだ。)
思い出してむ、として。それでも、満足のいくように作りたかったが。
(どうしたもんだろう)
ふと思いついて、豆板醤を加えたら何ともエスニックになったではないか。
歩にも良にも好評を博した一品となった。
(ふふーん。となると、あそこの唐揚げ屋さんでゲットせねばなるまい)
同僚から教えて貰った、在る繁華街にあるデパ地下の惣菜屋では、唐揚げを500g、1kg売りしてくれる。
檀は自宅では揚げ物をしないので、揚げ物を食べたい時は惣菜屋を利用している。
彼女は唐揚げが大好きなので、一人で5個も6個も食いたい。しかし以外と高価だ。なので大量に買い込めて味もそこそこ満足出来、そんなには高くないこの店を重宝している。
今日も唐揚げを1kg程ゲットして。
箸休めになる惣菜を、2、3品選んだ。
(歩ちゃん。今日は帰ってくるかな)
ここの処、歩と顔を合わせない日が続いている。
夜勤以外の日、終電か、もしくは始発で還ってきているようだ。
朝、檀が起きてくると、タバコと酒の匂いが玄関や台所、洗面所に残っていて。
・・・どこかで遊んできたのだろうと思う。
シフトはカレンダーに書いてくれているし、姉の為に残しておいた料理も食べてくれているから、そこまで心配することはないのかもしれない。
(まだ立ち直ってないんだな)
と檀は思う。
檀も片思い歴は多い。
告白出来ないまま、片思いの相手が意中の女性とデートしている姿を見て失恋したことはある。
その時は世界の終わりかと思ったものだ。
しかし。
(明けない夜はない。
嵐の過ぎない夜はない。)
辛くても、辛くても。
じ、と背中を丸めて痛みをやり過ごす。
怪我をしたら、棲み処の中に丸まって、眠って治す獣のように。
”痛みは時間が経てば癒されるのだと。
癒される時は必ず来ることを私は知っているのだから”
必死に言い聞かせた時が、自分にもあって。
姉は今、そんな時期なのだろう。
(お説教なんて越権行為はしないけど。
歩ちゃん、やんちゃはしてもいいけど、無茶はしないでね)
姉がこれ以上傷つかないことを檀は祈るのだった。
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