プロローグ:真紅の炎は燃え始める
この作品はフィクションです、実在する人物、団体、地方、宗教、歴史、その他諸々とは関係ありません。またこの作品が趣味に合わなかった場合はすぐに他のページへ飛び、違う作品で口直しをすることを推奨します。
目の前の光景を私の幼稚な頭が理解するのには数十秒かかった。
世界の全てが左右反転したこの世界で、
クマの姿をした化物が襲ってくるような状況で、
謎の和装ポニーテールが私に氷で出来た日本刀を向けている。
文字にすればたったこれだけのことだけど、そのあまりにも非現実的で非日常的で非常識的な不自然をすんなり受け入れることができる女の子が居たら、きっとその子の趣味はネバーランドに現実逃避することだと思うよ。
「お前も……魔法少女か?」
ポニーテールが右手に持った氷の日本刀を向けたまま、左手で私の胸倉を掴み、詰問してきた。
「魔法……少女……?」
氷の日本刀に無意識に怯え震えながら聞き返してしまった。
そもそもその一言の意味を理解できるほど、私のボキャブラリーは富んでいない。
だってそうでしょ?
普通、訊かないよ?
初対面の女子に『魔法少女か?』って。
というか魔法少女って何?
今時、幼稚園児ですらサンタクロースを信じてないのに魔法少女なんて空想上の存在を信じている子なんて居ないって。
でも私の感想など気にしないと言いたいように、ポニーテールは日本刀を向けたまま睨みつけている。
そして、この出来事が、この出会いが、私の人生を大きく変えたのでした。