天使と悪魔(超短編)
道端で百円玉が落ちているのを俺は見つけた。
いったいどうしたものか。
べつに拾って自分のものにしてもいいとは思うが……
迷っている俺に心の中の悪魔がささやいてくる。
「けっ、別に百円ぐらい。拾わなくたって構わねえだろうが。」
おい、そこは拾ったて構わねえ、じゃないのかよ。
悪魔に対抗して今度は心の中の天使が現れる。
「きっと困っている人がこの世にはいるわ。だから、その百円を募金しましょ。」
おい、困っているのは落とし主だろ。微妙に悪いことをして募金しても真の善人じゃないぞ。
結局俺は両方の意見を採用して自分の財布から百円玉を取り出し、募金した。