第三話
今回、粒子の名前が決まります。
今日で俺がこの村に来て二か月目になった。
俺は光の粒子を観察すると共に俺の能力の検証も進めていた。その結果、俺の能力は粒子と関わりがあることが分かった。
まず憑依だが、これはその対象に元々宿っている粒子と俺の霊体を一時的に融合させるというものだった。そうする事で俺はその対象を操ることが出来たのだ。そう考えるとこの体もあの粒子で構成されているのだろうか?でも何か違う気がするんだよな。
ある日、俺はあることを思いつき、土に憑依してみた。憑依自体はいつも通りだ。だが、ここからが本番だ。俺は土に宿る粒子を己の中に吸収してみた。
スゥゥーン……
すると、俺の感覚が延長されたかのようになった。そして憑依を解除し、土に手を近づけて念じる。すと、憑依していないのに土を俺の望んだ通りに動かせた。
予想通りだった。粒子と同化することができるのなら、吸収することもできたようだ。そして吸収した粒子が直前に宿っていたモノを操るといったこともできるようになった。おそらく宿っているモノごとに構造が違う粒子をその性質を保ったまま吸収できるのだろう。
『しかし、一々粒子と呼ぶのは面倒だな。何か名前を付けた方が良いだろう。何にしようか……魔力、は何か違うよな、うーん……そうだ、エーテルと呼ぶことにしよう』
エーテルは科学がある程度発達する少し前までは、世界にある見えざる元素として、その存在が信じられていた概念だ。見えざる力という意味ではこの粒子とも共通している。というわけで以後はこの名前で呼ぼう。
吸収できることが分かってから俺は一か月間、森の地面に憑依し、少しづつ感覚を広げていた。最初は己の体型くらいしか宿れなかったが、今じゃ憑依できる範囲も広がり、村と村の近くの森の入口辺りまで宿れるようになった。さらに、大地から生えているという関係上、地面に宿っていながら樹木や草花、それらにも宿れていた。
そのせいか、地面に宿っているのにも関わらず、村の人たちの生活を知覚できるようになっている。
どうやら俺は今大地と一体化しているからその上で起きていることを把握できるようだ。
なんかこうしてみると、幽霊っていうか精霊みたいだなと、思えた。ゆくゆくはあらゆるモノと憑依してみたい。
今回わかったこと、主人公はエーテルと同化できること、エーテルを吸収できること、そして吸収したエーテルが直前まで宿っていたモノを操れるようになること、等です。