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#02 推薦組の矛盾点

 

「固体の時間停止能力、効力、範囲、持続時間ともにE判定。流体の時間停止能力、同じく全てE判定。おめでとう! 桑場屋!! 我が校の入校時テストの実技科目でオールE判定をとったのは、お前が初めてだ!! 本当に何もできないんだなぁ〜!? ガッハッハッハッハ!!」


(笑い事じゃねぇよ……)


 顔を限界まで引きつらせたまま自分のテスト結果の書かれた紙に目をやる桑場屋武蔵の心情に全く思いを馳せることなく、1ーE組の担任である橋本は豪快に笑う。


「こんなはずじゃなかったのに……」


 彼は自分の目にうつる情報を脳に送るのをやめた。それは意識的にというよりは、無意識に。

 そして代わりに数日前の自分の間抜けさについて再び回想することにする。

 そう、彼の心が一番輝いていた頃の回想の中へ……。



――――――


 時は遡り数日前。


「ウヒョヒョヒョォーイ!!!!!!」

 

 TOAの入学式の前日、パンツ一枚の桑場屋武蔵は自室のベッドの上で体操選手を気取っていた。


「武蔵!!静かにしろっ!!」

 

 隣の部屋から響く母の怒号でさえ、彼のはやる気持ちを押さえることなど出来ない。

 

「これが落ち着いてられるかってんだよ……」

 

 ウヒヒ……と、彼は緩んだ頬をそのままにして独り言を呟く。

 だが、彼が興奮を隠せないのも無理はない。なぜなら彼は全国の約1000人の選ばれし者しか入れない、今、この世界の最先端の象徴である、人類新時代の証ともいえるTOAティー・オー・エー—タイム・オペレート・アカデミア—への入学前夜なのだから。

 時を止めることを可能にする薬、通称時薬(ジヤク)が実用化に至ったのはほんの5年前のことである。

 そして時薬の実用化と共に、日本政府はTOA中等部の設立を宣言した。時薬がある特定の年齢の人間にしか効果をなさない為、その年齢の子供達を集め時薬の効果を正確に判断するための研究実験学園を創立したのだ。さらに、1年前TOA1期生が中等部を卒業すると同時に、TOA高等部も設立された。

 この春、桑場屋武蔵はといえば、その高等部の編入入学試験に合格したのである。高等部の合格定員はたったの40人と、ただでさえ少ない中等部の合格定員160人にくらべても非常に少ない。その狭き門を彼は突破したのだ。

 しかも彼の合格の仕方は普通ではなかった。TOAの1次試験で課される適合率調査で80%以上を記録し、推薦合格を果たしているのである。

 ちなみにここで適合率が40%未満だと2次試験を受けることなく不合格となる。彼の興奮の理由は、この名誉ある推薦合格を果たしたことにもあったのである。



(時間を止められるようになったらなにしようかなぁ〜?)


 試験に合格してからというもの桑場屋武蔵は入学の日の事ばかり考えていた。TOAは日本で唯一時薬を扱っていて、時間操作についてのレクチャーを行っている機関である。

 おそらく彼以外の入学予定者も、時間を止めることばかり考えているだろう。そして彼等が時間を止めることを考えながら、早く時間が進まないかとやきもきするのは、当然のことなのだった。

 しかし残念ながら、桑場屋武蔵、その人にとっては現実、入学式当日は非情で残酷なものであったのだが。




――――――



 そして悲惨な入学式の次の日も彼にとってまさに地獄だった。

 午前中は英国数の筆記試験があり、午後は時間操作の実技という日程なのであるが、推薦合格を果たしている桑場屋武蔵は偏差値的にはまるでTOAのレベルに達していない。

 当然彼のメンタルが午前中の時点でボロ雑巾同然になる事は避けられなかったのである。




「よし昼を食べたらグラウンドに集合しろよ〜。わかったな!? ガッハッハッハッハ!」

 

 ゆるりと弛緩する空気。

 桑場屋武蔵がTOAに入学を果たした次の日の午後、橋本はそう言い残すと教室からそそくさと出て行く。


(もうやだ帰りたい……)


 午前中のテストで精神に止めを刺された桑場屋武蔵は溜め息をつき窓の外に目をやる。すると帰路につく生徒たちの集団が見えた。


「いいなー、先輩たちはもう帰るのか〜」


 視界の奥へ消えていく、自らと同じ制服を着用した学生。 

 やがて彼が弁当をまだ綺麗なリュックサックから取り出し、慎ましく昼食を食べ始める。

 しかしその時、突如前の方から知らない男の声が飛び掛かってきた。

 

「1年生の中でも午後の実技があるのはこのクラスだけだぜ」


 声のした方を見てみれば、彼を見つめる猫っぽい笑みを浮かべる青年が一人。


(え? こいつ俺に話しかけてるのか?)


 桑場屋武蔵の前席の明るい茶色の髪の青年は軽く笑みを浮かべながら彼の方に身体を向けていた。

 とりあえず自らに声をかけられたと判断し、おずおずと返答する。

 

「え? そうなのか? なんでこのクラスだけ実技があるの?」

 

 グヒヒヒッ、と青年の口が楽しそうに音を鳴らす。

 彼の返答がよほど面白かったのか、その青年は本当に愉快そうに笑っていた。


「本当に気づいてないんだな!」

「は? 何にだよ?」

 

 桑場屋武蔵はその軽薄そうな青年に合わしてついつい馴れ馴れしくなってしまう。元来は彼は人見知りをしない質で、それに目の前の青年の笑みがやけに腹立たしい。


「おい、なんで昨日時薬を飲んだかわかってる?」

「なんだよやぶから棒に? 時を止められるようにするためだろ?」


 まあ、俺は止められないんですけどね、と彼はそっと心の中で付け足す。


「その通り! そしてクラスの全員が時薬を飲んだ、俺を除いてだが。まぁそれはさておき、これで昨日までこのクラスの奴等は時を止められなかったことがわかるだろ?」

「そりゃそうだろ。入学したばかりなんだから」

「そういうことさ。入学したばかりの奴しかいない」

 

 桑場屋武蔵は首元に銀のネックレスをのぞかせる青年の言い回しにだんだん苛立ちを感じ始める。

 

「つまり、このクラスには編入組しかいないんだ。中等部上がりはいない。そんでもって成績は絶対評価だ。これでわかったろ?」

「……あぁ! そういうことか! 中等部上がりとは授業進度に差があるからこのクラスと他のクラスとじゃテストも違うのか!!」

 

 そういうこと〜、お前頭鈍い系? その男は軽口をたたく。しかし、桑場屋武蔵にはまだわからないことがあった。


「じゃあお前は何で時薬を飲まなかったんだ?」

 

 彼の記憶では、目の前の青年はこのクラスで唯一時薬を飲まなかったはず。その理由がわからない。

 しかしその問いかけにその青年は堂々と胸を張り答えた。


「簡単なことさ! 至って理由はシンプル! 俺は中等部上がりだからだ! 成績があまりにも悪くてこのクラスに落とされただけだぜ! 三日天下のクラオチとは俺のことさ!!!」

 

 恥ずかしい内容を、まったく恥ずかしげなく大胆に宣言。

 そして宣言に満足したのか倉落クラオチは席を立ち、颯爽とどこかに消えていく。


(悲しみの入学式だったのは俺だけじゃなかったんだな……)


 桑場屋武蔵はなぜか倉落クラオチと名乗った青年に妙な仲間意識を覚えていた。



――――――



「よし、んじゃ早速実技を始めるぞ〜。40人全員揃ってるか!?」

 

 橋本の声が響くグラウンドの中で、桑場屋武蔵は軽い感動を周囲の景色に覚える。

 一応辺りを見渡してみるが。昼食の時間が終わっても倉落はまだ戻ってきていないようだった。


(それにしても広いな)


 桑場屋武蔵は、サッカーコートが丸々3つは余裕で入りそうなグラウンドをぼんやりと眺める。この学園にも体育祭のような行事はあるのだろうか。一周するのにどれくらいかかるのだろうか。

 そんな風に漠然と思考を泳がせていると、ふいに遠くから喧しい足音が聞こえてくる。


「すんませ〜ん!! 余りにも校内の敷地が広すぎて迷ってました!」


(いやお前はすでに3年間過ごしてるだろ……)


「あ!? 倉落!! お前はすでにこの学園で3年間過ごしているだろうが!!!」

 

 遅れてやってきた倉落に、桑場屋武蔵が心の中で小さくツッコミを言うと同時に橋本が激しい怒号をあげた。

 対する倉落は対して反省はしていない様子だ。


「ちっ。まぁいい、これで……39人か? あぁ、そうか。今日は1人休みだったな。よし、じゃあ説明を始めるぞ」


 橋本も叱ることに慣れているのか、すぐに切り替える。

 メモのようなものを片手に、集まった生徒たちを見渡した。 


(休み……!? だとっ!? 糞っ! その手があったか!!)


 そして桑場屋武蔵はといえば、入学2日目にして学校を休まなかったことを後悔している。


「さぁ…公開処刑の始まりだぜ……!」

 

 桑場屋武蔵の言葉に呼応するように発症し始めるのは彼の多汗症。

 能力のない青年の、実技試験が始まるのだ。



――――――



「まずは流体直接時間操作テストか」


 橋本の説明によると実技テストは4種類あり、それぞれ担当の先生がグラウンドの指定の場所にいるので、そこにクラスを4等分したグループを順番に回らせるというものらしい。


「なぁ、倉落。お前はもうこのテストやったことあるんだよな?」

「当たり前だろ? 毎年3回は受けてたよ。ていうかこのテスト、春休み前にも受けたからなぁ〜。俺が今受ける必要ないと思うんだよなぁ〜」

 

 不安に押しつぶされそうな声に、陽気な声が跳ね返る。

 グループは出席番号順のため、前後の関係にある桑場屋武蔵と倉落は自然と会話をする関係になっていた。

 天気は快晴。風は穏やか。

 倉落は心底面倒臭いという顔をし、桑場屋武蔵に気怠そうな声を浴びせる。

 

「お前の成績が悪いのがいけないんだろ?」

「おっ、言ったな!?」

 

 昼前のお返しにと、しかけるからかい。

 桑場屋武蔵がにやけながらそうやって言葉を返すと、倉落は不敵な笑みを浮かべながら続ける。


「へっ! 上等だ!! 今からお前に中等部上がりの実力を見せてやるぜ!!!」

「中等部上がり最弱の男が何言ってんだ」

 

 そう桑場屋武蔵はからかいを続けたが言葉と裏腹に自分の心臓は高鳴りっぱなしだ。


「それでは出席番号11番、倉落優人(ユウト)。テストを始めなさい」

 

 少し距離の空いた箇所から声がかかる。

 声の主は眼鏡を掛けた背の高い鉤鼻の男だ。おそらく試験官の一人だろう。


「ちょうど俺からだなっ!」

 

 不敵な笑みを崩さず、試験官へと近づいていく茶色頭。

 倉落は冷たい双眸のその男から500mのペットボトルを受け取ると、桑場屋武蔵の方を振り返ってウインクをする余裕をみせる。


(うわっ! 気持ち悪っ)


 そう桑場屋武蔵が嫌悪感を持ったのも束の間、倉落はペットボトルのフタを開け放ったとおもうと、あろうことか自らの頭の上で逆さまにし、中身の水のような物を頭から被ったのだった。

 いや、正確には被ろうとしたのだ。実際にはその水のような物は倉落の頭部に接触する寸前で止まっていた。その姿はさながら古代の彫像のようであった。


「マジか……すげえ…!」


(あいつ、口だけじゃなかったんだな)


 見事にみせつけられた水の動きの時間停止という事象。

 桑場屋武蔵は心の中で素直に拍手を送った。

 そして10秒ほど経った瞬間、倉落は慌てて横に飛び退く。


 ビチャ!!


 するとさっきまで空中で静止していた水のような物が地面に落ちていった。

 

「ふぅ〜。やっぱイージーウォーターでも10秒が限界かぁ〜」

「よし、もういい」


 意地の悪そうな担当の男が終了を告げると、倉落はやけに胸を張りながら桑場屋武蔵の方へ戻っていく。


「どうだった? 俺の時の止め方なかなかカッコ良かっただろ?」

「まぁな。意外性はあったよ」

「だろっ? 今のみんな見てたよな!? 俺のモテ期も近いぜ…グヒヒヒッ!」


 くだらない後半の台詞を無視して、無能の青年は気落ちした息を吐く。


(さて、次の番は俺か……こいつの後にやるのマジで嫌だな……)


 誇らしげで嬉しそうな倉落とは打って変わって、桑場屋武蔵は灰色のスーツを着た男の方を向きながら憂鬱と戦っていた。


「次はユーの番だな。期待してるぜ? 推薦組の桑場屋武蔵君」

 

 すでに担当の先生の元に歩き始めていた桑場屋武蔵は背中にかけられた言葉に驚いた顔で振り向く。

 

「あれ?お前、なんでそのことを知ってんだ? 俺が推薦組だって言ったっけ?」

「ん? 知らないのか? この学園に推薦で入ったやつには、同じく推薦で入ったやつを知る権利があるんだぜ?」


(え……それってつまり………?)


 桑場屋武蔵が言葉を続けようとした瞬間、低く鋭い声が2人の会話を中断させた。

 

「出席番号12番、桑場屋武蔵。早くこちらに来なさい」


 明確な苛立ちが含まれた鋭声。


(詳しいことは後で聞けばいいか……)


 彼は会話を続けることを諦め、戦場へ向かっていった。



――――――



「君が噂の桑場屋だな。右々木先生から話は聞いているよ。私は田中タナカだ。これからよろしく」

 

 田中は頬の筋肉を一切動かさずに桑場屋武蔵に話しかける。


(噂の桑場屋? あの変人副校長一体何を言いふらしたんだ? まさか俺が時を止められないことをバラしたのか?? まぁ、それはそれでいいけどさ)


 最初から自分を知っているらしい田中に桑場屋武蔵は警戒をしたが、それ以上田中は何も語らず、ただイージーウォーターと呼ばれるものを手渡すだけ。

 不気味な緊張感に、彼は胃の内容物を吐いてしまいそうだ。


(取り敢えずやるしかないな)


 覚悟を決め、深呼吸で吐き気を誤魔化す。

 彼はペットボトルのフタを丁寧に開けると、自分の左手の平に向けて中身を注ぎ込んだ。



 ――ビチャビチャビチャ!!



 当然流れ出て、手の平を濡らす液体。


(意外に温いなぁ…。日に当てたのかなぁ……)


 そして桑場屋武蔵が現実から逃げるようにイージーウォーターの水温への無駄な考察を始めると、田中がそれを遮った。


「ほう…。この程度のテストはやる価値がないという意思表示か……。右々木先生の言う少し変わっているというのはこういうことか。だが桑場屋、覚えておけ。右々木先生はお前のことをこの世界の未来だと言った。だがそうは思わない人間もこの世界にはいるってことをな」

 

 温度を一切感じさせない声。

 汚物を見るような目つきで田中は言葉を吐き捨てる。


(あれ? 一瞬ですごい嫌われた? というか最初からさほど好かれてないっぽかったな。ていうか何の時も止められないこの俺が世界の未来!? あの変人副校長適当なこと言いやがって!)


 桑場屋武蔵が頭の中でヘラヘラしている右々木に怒りをぶつけていると、再び田中が口を開く。


「出席番号12番、桑場屋武蔵。今すぐ私の前から消え失せろ」

 

 そう言い放つ田中の表情からはなんの親しみも感じ取れない。


(はいはい消えますよ。ていうか何でこいつこんなキレてんの?)


 田中の異常な態度に腹を立てながら桑場屋武蔵は列に戻っていく。するとそこには腹を抱えて大爆笑している青年が一人いた。


(取り敢えず倉落に一発かまそう)


 幸運な事に桑場屋武蔵は怒りを吐き出せるうってつけの対象をすぐに見つけることができた。




――――――



 ペチッ。


「いつまで笑ってんだよ」


 桑場屋武蔵はいつまでも笑い続ける倉落にデコピンをお見舞いする。

 

「グヒッ! グヒヒヒッ! ごめんごめん。いやぁ〜俺の期待以上だったよ。田中があんなにブチ切れたの久しぶりに見たぜ。お前意外に根性あるな!?」


(はぁ……多分こいつは俺がわざと時を止めなかったと思ってるんだろうな)


 彼は急にセンチメンタルな気分になってしまう。


「次、出席番号13番、酒井準一。ん? こいつは休みか。次、出席番号14番、崎山慎吾」

 

 桑場屋武蔵は耳に入ってくる田中の声を除外して、先程から気になっていたことをいまだグヒグヒ言っている倉落に尋ねることにした。


「なぁそれはもういいからさ。さっき言ってた推薦がどうとかの話詳しく教えてくれよ」

 

 倉落はやっと笑うのを止めて、今度は人を小馬鹿にしたような顔で話し始める。


「お前配られたプリントとか見ないわけ? 昨日配られたプリントに推薦組には他の推薦組の名を知る権利がある、って書いてあったろうが」


 じゃあやっぱりお前も、 そう桑場屋武蔵が言いかけた所で倉落が遮った。


「だからそうだよ。俺も推薦組なんだよ。まぁ俺が推薦合格したのは3年前だがな。ちなみに今年の推薦組を合わせて、今この学年には6人の推薦組がいるらしいぜ」


(こいつ推薦組なのに学園最下位レベルの成績だったのかよ。いや、むしろ推薦組だから? でも、推薦組は他の生徒より実技は遥かに出来がいいはずじゃないのか? かっこ俺は除く)


 桑場屋武蔵は家に帰ったらプリントをよく読もうと深く決意する。


「でも何でそんな権利があるんだ? 他の推薦組が誰とかどうでもよくないか?どうせすぐ学園内の推薦組が誰かなんてみんな知るようになるだろ」

 

 桑場屋武蔵の言葉に、以外にも倉落は素直に頷いた。


「まぁ、確かにそうだけどな。ちょっとしたボーナスみたいなもんだろ。他の学年の推薦組も誰かすぐわかるし」


(なるほど。俺が推薦組だってことはこの学年はおろか他の学年にも知られてしまうのか。時を止められないことがわかった今、なるべく人には言わないようにしようと思ってたのになぁ)


 彼は再び心が折れそうになる気配を感じるが、防ぐ術はいまだ思いつかない。




――――――



「次のテストは固体非直接時間操作か」

 

 倉落が出席番号1から10番の列がいる方を向きながら何気なく呟く。


「え!? 非直接!? 実際に触らないで時を止めるのか?」

 

 すると過剰反応をする者が一人。桑場屋武蔵が突然大きな声を出したのだ。それに対し倉落は両耳の穴を塞いでうるさいアピール。


「そうだよ。マジでプリント読んでないんだな…。でも直接触らない方が時を止めやすいやつもいるんだぜ。例えば俺とか。まぁ俺の場合は非直接というより間接のが得意だけど」

「それどうやってテストするんだ?」

 

 桑場屋武蔵は少し怯えた声で尋ねた。


「先生がボールを100m先くらいからぶん投げて、それを止めて、そん時のボールから自分の距離が得点だ。おっ、ちょうどあの女の子が今からテストするみたいだぜ。あれ見てりゃわかるよ」


(100m先からボールをぶん投げる? そんなイカれた肩の持ち主が教員にいるのか?)


 桑場屋武蔵はTOAの試験方法に呆れながらも、固体非直接時間操作テスト場の方角に目を向けた。


「次〜! 出席番号6番〜!!」


(って投げるの橋本かよっ!)


 野太い声がグラウンドに響き渡る。

 獣の咆哮のような声の持ち主は、すでに見慣れた顔となった彼らの担任だ。


「オカヅキマコ〜! 投げるぞぉ〜!!」


岡月真子オカヅキマコ? 出席番号6番ってことは……)


 桑場屋武蔵はテストを受けようとする真剣な面持ちの少女の方へ視線を移す。そこには彼にこの学園の扉の秘密を教えてくれた人の顔があった。


「隣のあの子か」


 もう彼にとって橋本がボールを投げることは興味の対象外になっていた。



――――――



「いつも思うけどあんな遠くからボール投げる必要あんのかなぁ〜。橋本が強肩自慢したいだけだろ」


 倉落がそうぼやいていると、橋本がハンドボール用くらいの大きさの球を唸り声をあげながら放り投げる。


「ウォォォー!!!!」

 

 ――が、しかし、橋本の手からボールが離れて1秒も経たないうちに白い球は空中で静止してしまう。


「え?」


 桑場屋武蔵の隣で絶句しているのは倉落。

 そしてボールの時間は1度止まってから約2秒後に再び動きだした。そのままボールは見事な放物線を描き、100m先の岡月の元に落ちていく。


「すげーな、本当に100m投げたよ。しかも中々の制球力だ」

「ババババ馬鹿!! ちげーよ! そこじゃねぇよ!!!」

 

 桑場屋武蔵が率直な感想を述べると、倉落が珍しく興奮した様子で桑場屋武蔵の肩を叩いた。


「すげぇのはあの岡月真子って子だよ!90m以上先の物の時を止めるなんて普通じゃねぇぞ!? しかも可愛い!」

 

 お前ショートカットが好みなの? そう桑場屋武蔵が茶化すと、お前凄さが全然わかってねぇだろ、と倉落が彼を睨みつけた。

 

「そんな凄い凄いって言っても、編入組にしてはってことだろ? お前もあのくらいの距離は止められるんだろ?」

「馬鹿言えよ。俺だって5m先がやっとだ。この学年最強の能力者だって30m先が限度のはずだ。あの岡月って子は確かに時間停止の持続時間は短いけど、それでもあの距離は有り得ない!!!」

 

 中等部上がりの推薦組である倉落が絶賛するのを見て、やっと桑場屋武蔵にも岡月の実力の高さがわかってきた。

 

「岡月も推薦組なのか?」

「いや、彼女の名前はなかった。でもあの感じだと適合率79%くらいだったんじゃねぇの?」

 

 倉落はすでに列に戻っている岡月の方を見たまま桑場屋武蔵には目もくれない。


(適合率は俺の方が上なのになぁ)


 桑場屋武蔵は岡月に憧れを抱き、そして自分の現状を呪った。



――――――



「はぁ〜、やっと終わったな。疲れた疲れたー!」


 実技試験を終え、教室内には安堵と達成感に包まれた独特の雰囲気が広がっている。 

 そんな中、倉落は自席に勢いよく座ると大きな欠伸をした。


「それにしてもクワには恐れ入るぜ。まさか全テストで時を止めないなんてよ。先生達みんな不機嫌にさせてたよな!?」

 

 一方完全に充電切れとなっていた桑場屋武蔵は俯いた顔を持ち上げて、倉落にテストの後半で打ち明けた真実を再度説明した。


「だから言ってるだろ? 俺は時を止めないんじゃなくて止められないの! ドントじゃなくてキャントなの!!」

「はいはい、そういう設定はいいから。そんな奴がうちに入学出来るわけがないだろ? まして推薦合格でさ」


(それはそうだけど)


 桑場屋武蔵はまたも言葉を濁すことになってしまう。彼も自分がなぜTOAに入学出来たのかわかっていなかったからだ。

 

「それにしても面白かったなぁ〜。飛んでくるイージーウォーターを顔面から被った時は鈴木の爺さんも口を開けて固まってたしっ! グヒヒッ! クワがイージーボールを地面に叩きつけた時の佐藤先生の顔なんてっ!! グヒヒヒッ!! 笑いが止まんねぇ!!!」


(こいつの時を永久に止めてぇ…!!)


 桑場屋武蔵がこれほどに時間操作能力を欲したのは初めてである。


「橋本が投げたビッグイージーボールをクワがキャッチした時は俺以外の奴も笑ってたぜ! もちろん投げた橋本も大爆笑だ!!」

「俺ちょっとジュース買いに自販機いってくるわ」

 

 もういろいろな意味で我慢できない。

 桑場屋武蔵は自分の失態でゲラゲラ笑う倉落から逃げるように席を立った。


「お!? 丁度いいねぇ……俺も喉が渇いてきた所だったんだ。ジャンケンで負けた方が相手の分もおごりでどう?」

 

 すると倉落が唐突に勝負を提案する。


「え? いいよ……たかが90円のためにギャンブルなんてしたくないし」

「俺が負けた場合のみお前に2つおごる。これでどうだ?」


 倉落は挑発するような目つきで桑場屋武蔵に追い打ちをかけた。

 

「……乗った」

 

 そして簡単に挑発に乗る桑場屋武蔵。

 彼はは元々こういった種類の賭け事や勝負が好きだ。

 気分が落ち込んでいたためあまり乗り気ではなかったが、倉落のにやけづらを崩すいい機会だと思いなおしたのだった。

 すると途端に2人の間に視線の火花が散る。両者ともに動かない。

 もちろん誰かが2人の肉体の時を止めているわけではない。2人の戦士が動きを止めてからピッタリ4秒後。決着は一瞬だった。

 

「ジャンケンポン!!!」


 刹那、桑場屋武蔵の右手から突き出た2本の指が倉落の無防備に広げられた右手の平を切り裂く。


 ――ガクッ!


 自席にうなだれる倉落、それを見下ろす桑場屋武蔵。 敗者と勝者だけがそこにはいた。

 

「敗者に掛ける言葉などない」


 倉落に背を向けて桑場屋武蔵はそう言い残し、廊下に向かって歩いていく。

そしてその後ろを倉落は無言で追いかけていくのだった。



――――――



「さ〜て、どれにしようかなぁ〜?」


 自動販売機の前に辿り着いた2人はそれぞれどの飲み物を選ぶか迷っていた。敗者となった倉落もすっかり元気を取り戻している。

 

「へぇ〜。結構いろんなのがあるんだな」

「だろ? TOAのドリンクチョイスは日本一だと俺は思ってるぜ」

 

 倉落は自動販売機をペタペタ触りながら桑場屋武蔵に言った。

 

「こんな中から2つもただで頂けるなんて。何かすみませんねぇ? 倉落サン?」

「いえいえいいんですよ桑場屋サン。是非おごらせてくださいよ〜」

 

 桑場屋武蔵がそうおちょくるような発言をしても、倉落は調子よく返答してみせる。

 だがその時、倉落が下衆の顔をしていたことに彼は気づかなかったのだ。


(悪いねぇ桑場屋君……。俺は絶対に負けない勝負しかしないのだよ……)


 倉落は心の中ですでに下衆の企みを作りあげていた。

 

「よーし、じゃあ俺はウコンコーラにしよっと」

 

 倉落はポケットからPESUMOと呼ばれる電子カードを取り出して飲み物を1つ先に購入する。


 ピッ! ガシャンゴロン!

 

「ホラよ、俺のPESUMOで好きなの買えよ。」

「悪いね」


(本当に悪いのはこっちさ……グヒヒヒ…)


 なんとも凶悪な顔だ。

 そう、倉落は自分の分を買った後、PESUMOの時をすでに止めていたのである。はなから桑場屋武蔵におごるつもりなどなかったのだ。

 

「いや〜、俺こういうのめっちゃ迷うんだよね」


(悩め悩め…悩んだ分だけ絶望が大きくなるぜぇ…?)


 まったくもってくだらない内容だが、倉落の思考回路はすでに外道のそれと同じであった。

 しかしそんなことにはまるで気づかず、桑場屋武蔵は純粋に飲み物選びを楽しんでいる。倉落に時を止められたPESUMOを握りしめ、あーでもない、こうでもないと、迷い続けている。


(電気の時を止める力って、ほんとイタズラに便利だぜ)


「よし! ガルピスコーラとトカリに決めた!!!」

 

 やがて桑場屋武蔵はそう高らかに宣言すると、ボタンを押し。PESUMOを自動販売機に伸ばしていった。


(ハイ残念!)


 倉落はニヤリと笑う。しかし――――、


 ――ピッ! ガシャンゴロン!


 

「俺ガルピスコーラ好きなんだよなぁ〜」


(……あれれ?)


 倉落の表情がカチリと凍りついたことに桑場屋武蔵はまるで気づいていない。

 

「まずはガルピ〜ス。次はトカ〜リ」

 

 ピッ!ガシャンゴロン!

 当然のように商品を出す自動販売機。

 

「え!? 何で!?!?」

 

 倉落はまるで意味がわからないという顔をして悲痛な声をあげた。

 

「何でって……まさかやっぱ自分で買うわ、とか言うとでも思ってたの? 残念ながら俺はそんなお人好しなんかじゃないのだよ」

 

 桑場屋武蔵はそう言いながら倉落にPESUMOを返した。

 

「いやそういうわけじゃないんだけど……」

 

 倉落は自分のPESUMOをまじまじと見つめる。

 

「倉落? いつまでそこにつっ立ってんだよ。先教室戻っちゃうぞー?」

「あ、ああ。先戻っててくれ。俺行くとこあんの思い出したから」

 

 倉落は不自然な笑みを顔に浮かべてそう桑場屋武蔵に返して、なんとか心の動揺を隠そうとする。

 

「そうなの? じゃあ先戻ってるぞ」


 桑場屋武蔵は両手に缶を持って校舎に戻って行った。

 

「おかしい…何でPESUMOの時が止まってなかったんだ?」


(確実に時は止めたはず…感触もあった……15分は使えないはずだったのに)


 一人残った倉落は自動販売機の前で思わず独り言を話していた。


(試してみるか)



 倉落は自分のPESUMOに意識を集中する。


 ――バチッ!


「痛っ!」


(止められない? やっぱりインターバルに入ってる……てことはやっぱり1回はPESUMOの時をちゃんと止めてたんだ)


 倉落は自動販売機に寄りかかり考え続けていたが疑問は解決されない。

 

「でもあいつは使えた……」

 

 おかしい。明らかにおかしい。しかしその理由はわからない。

 倉落は桑場屋武蔵の中に底知れぬものを感じ始めていた。




――――――




(なんかあいつやけにテンパってたな。まるで予想外の事が起きた! みたいな顔だった)


 桑場屋武蔵は飲み物を買った後の不審な倉落の姿を頭を捻って思い返していた。


 ガチャ。


 そうこうしながら教室に入ると残っている生徒は1人だけで、少しだけ居心地が悪い。


(そっかみんなもう帰ったのか。てかなんか気まずいな、この状況…しかも残ってるあの子って……)

 

「やっと戻って来たね。桑場屋君」


(えぇー!!! 話しかけて来た!?!?!?)


 残っていたのは、岡月という名の少女一人。

 だが面識がないとはいえないが、名を呼び合う関係性ではないはずの彼女は間髪入れず彼へ言葉を投げかける。

 桑場屋武蔵は突然話しかけてきた岡月に激しく戸惑った。

 

「単刀直入に聞くよ」


 しかし混乱する桑場屋武蔵に構うことなく岡月は席から立ち上がり、彼にずかずかと詰め寄っていく。そして自信満々にこう言い放ったのだった。


「君、スパイでしょ?」


(………ん? 何言ってんの? このお嬢さんは?)


 桑場屋武蔵は理解不能な出来事の連続と、この1日での疲れとで貧血を起こしそうだ。

 

「違いますけど?」

 

 彼は辛うじてそれだけ言い返せたが、目の前の少女は眉を吊り上げるのみ。


「もうわかってるんだからっ! 隠したって無駄だよっ!」


(何この人? もしかして本気で言ってるの? もしかしてちょっと頭がアレ系の人?)


 真剣な表情の岡月は言葉を続ける。

 

「私昨日からずっと君を見てきたけど、君は1回も時を止めてない。最初はただの変人かと思ってたけど、今日イージーウォーターを顔面から浴びるのを見て確信したっ! 君は時を止めないんじゃなくて、止められないのだ! なのにTOAに入学してるっ! これはもう他国のスパイ以外あり得ないっ! 鼻も高いし!」

 

 驚くべきことにそう岡月は言い切ると、得意げな顔で桑場屋武蔵を睨みつけた。


「要するに、あなたは僕に一目惚れをしたわけですね?」

 

 それに対して桑場屋武蔵は真面目な顔を作り岡月に向かって全てを悟ったかのようにそう言いかえす。

 

「へ?」

 

 予想の範囲外の返答だったのか岡月は間抜けな声を漏らしてしまう。

 

「だから僕の事が気になってしょうがないので、1日中僕に見惚れていた。そういう事ですね?」

 

 そしてさらに彼がそう言った瞬間、岡月の顔はみるみるうちに沸騰していった。


「はっ、はっ、はぁぁぁぁぁ!?!?!? 超意味わかんないだけどっ!?!?!?!?!? 人の話ちゃんと聞いてた!?!?」

 

 桑場屋武蔵は岡月の横をするりと通り抜け、まだ馴染んでいない自席に缶を2つ置くと言葉を続けてみせる。

 

「でも、昨日からずーっと俺のこと見守ってたんでしょ? それはあれですぜ、完全に惚れてますぜ?」

 

 ふざけた奴にはふざけて返す。それが彼の数ある信条の1つで、彼はふざけているときよく一人称がブレるのだ。


「だから違ーーーうっ!!! 見守ってたんじゃなくてっ! 監視してたのっ!! カ・ン・シっ! わかった!?」

 

 目に見えて焦る岡月はなぜか全身汗だくだ。


「なんて自意識過剰なスパイなのっ!? 信じられないっ!!」


(まずい…! 完全に超絶ナルシストスパイ野郎のペースになってるっ! 無理やりにでもこっちのペースに戻さなきゃっ!)


 岡月は完全に冷静さを失っていて、思いつくままに行動することしかできない。

 

「もう怒ったからっ! まずは丁度喉が渇いたからそのトカリを頂くっ!!」

 

 岡月はそう高らかに宣言すると、桑場屋武蔵に集中した、彼の時を止めるつもりなのだ。


(よしっ、止めた! まずは先手必勝っ!)


 桑場屋武蔵の時を止めたと確信した岡月は彼の席の上にあるトカリに向かって素早く手を伸ばす。

 

「嫌です」


 ――だが、岡月がトカリに触れようとしたその瞬間、桑場屋武蔵がトカリを横から高速で保持した。

 

「えぇーーー!?!?!? 何で動いてんの!?!?!?!?」

 

 あり得ないはずの反抗に、岡月は大きな目を限界まで開けて驚愕の声をあげる。

 

「あげるわけないでしょ? お馬鹿さんなの?」


(帰りに飲む用だっての)


 桑場屋武蔵はトカリを自分のリュックサックに手際よくしまいながら答えた。


(絶対止めたと思ったのにっ! こうなったら今度こそもう1度時を止めてやる!)


 岡月は再度桑場屋武蔵に集中する。

 

 ――バチッ!

 

「痛ったっ!? え? 嘘!? インターバルに入ってる?」

 

 しかし彼女の能力は発動しない。

 最早岡月の混乱は最大限にまで高まっていた。

 

「ん? 何だ? 今の音?」


 不審な顔をする桑場屋武蔵はまるで状況を把握していない。

 

「もう最悪っ! もういいよっ! 今日は見逃してあげるっ! でも君の監視は続けるからっ!! いつでも見てるからねっ!!!」

 

 そして岡月はそう捨てゼリフを残すと、自分のエナメルバッグを両手で抱えて逃げるように教室から出て行った。

 

「何だったんだ……。あいつ……」


 わけのわからない桑場屋武蔵はガルピスコーラを1口飲む。


(短髪の美少女にいつでも見てるから、なんて言われるなんて…。ていうかあいつ、あんなキャラだったのか……。悪いな倉落、モテ期が始まったのは俺みたいだぜ)


「それにしてもあいつ遅いな」


 彼はもう1口ガルピスコーラを飲む。早くも残り半分になってしまっていた。



――――――




 

「よくそんな体勢で飲み物が飲めますね……」


 仰向けで絨毯に寝転がりながらペットボトルのミルクティーを飲む右々木に、橋本は呆れた声を出した。

 

「橋本先生は飲めないんですか?」

 

 そんな橋本に右々木は心底不思議そうな表情を向ける。


「はぁ…まぁいいです。それじゃあ頼まれてた入校時テストの結果を報告しますよ?」

「お願いします」


 右々木は寝転がったまま答えた。

 

「桑場屋は予想通りオールEです。試験中は結構面白かったですよ! 他には岡月真子という生徒が固体、流体ともに90m先で時を止めました。これには驚きましたよ! 推薦組ではありませんが、流石岡月教授の娘って感じですよ!」

「そうですか。そういえば真一郎さんの娘さんが入学していたんですね……」

 

 右々木はそう呟くと、小さく微笑んだ。


「試しに少し実験をしてみますか………」


 涼しげな微笑に、薄ら色がつく。


(あ、何か良からぬことを企んでるな?)


 右々木と長い付き合いの橋本は、その表情から本能的に危険な企みを読み取るが、別段何かを言うことはしない。止めても無駄だと経験から知っているからだ。

 そして右々木はまた寝転んだままミルクティーを一口に含む。

 重みの変化に微かな落胆。

 ミルクティーの入っていたペットボトルがもう空になってしまっていたからだ。




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