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#20 決意する矛盾点



ヒンヤリとした空気が風となって肌に打ちつけられるのを感じて、御前崎は目をしばたかせる。

下を覗けばコンクリートで塗装された地面が遥か遠くに見え、頭上には暗黒に染まる夜天が広々と展開していた。

御前崎は混乱する頭脳を必死で落ち着かせ、自分の置かれた状況を把握する事に全力を注ぐ。


焦っちゃだめ……焦っちゃだめよ…御前崎友里香……こういう時には焦ったら全て終わりなんだから…だからまず…一つずつ……確実に状況を整理して・・・


「なぁ!だから空飛べんの?おい御前崎!!お前は空飛べんのかって聞い・・」

「あぁっっっ!!!!もうっ!!今は話しかけないでくれるっ!?!?ただでさ発狂しそうなんだからっ!!!!!殺すわよ!?」

「殺すわよってお前!?命を救ってやったのにその言い草はないだろ?」

「黙りなさい。今直ぐ何故貴方が私を抱いて空中に浮いてるのか説明した後直ぐに死になさい」

「ああ糞っ!会話になんねぇよこいつっ!」


意味不明だわ。

完全に理解不能。

何がどうなってこんな事に?


御前崎は自分の記憶をゆっくりと、だが確実に思い出していく。

桑場屋武蔵を旅館の屋上に連れる、突如暴走を始めた人型ロボット、凶弾の嵐、そして、視線と合致した黒光りする銃口の先端、そして彼女の記憶がそこで途切れた。

そこから先がどうしても桑場屋武蔵に抱かれて宙に浮かんでいる現在に繋がってしまう。それは彼女の思考的にはあり得ない不自然な結末だった。

「分からない…一体何が起こったの……?」

「あのさ…そろそろ俺の質問に答えてくんないと困るんだけど・・・あ、ほらな」

「え?」

御前崎は永遠に続くかと思われた突然の浮遊感に異変が起きたのを敏感にも感じ取る。

ーーそして時が止まったかのような錯覚に到達した後、次の自分に襲いかかる強大な力によって起こされる事態にも彼女は聡明にも気がついた。


こ、これって・・・・


「お、落ちるぅぅぅっっっっ!!!!!」

「ほらぁぁっっっ!!だから言っただろっ!!!このままじゃ落ちるってっ!!!!!」

「い、言ってないわよっ!!!!一体貴方何をしたの!早く言わないと殺すわよっ!!!」

「いやだからこの状況を何とかしないとどっち道二人とも死ぬんだってぇぇぇ!!!!!」

重力は容赦無く二人に乗しかかり、灰色の硬い大地へと真っ逆さまに二人を加速させて行き、猛烈な風が二人の恐怖を煽るかのように吹き付けた。

「ちっ!仕方ないわねっ!!私達を性質時間の停止(リセット)するわ。私にしっかり捕まる事ね、さもなくば死ぬわよ?」

「え?よくわからないけどそれで助かるのか?」

「ええ、性質時間の停止(リセット)はそれまで流れて来た時間を無かった事に出来る。そうする事で重力を一旦ゼロに戻せるわ」

「おお…!そんな事も出来るのか!ん?私達?もしかしたらそれ・・・」

「静かにして集中するから」

御前崎は桑場屋武蔵の言葉を最後まで聞かずに、全神経を時を止める事に集中する。

彼女にとって人間二人の時を同時に止めるのはそう簡単な事ではない。銃撃による痛みもあり、むしろ現在に至っては相当困難な芸当とも言えた。

だが、彼女は恐るべき信念と集中力を持ってしてすぐさま能力を発動する。彼女の窮地における力は一般的女子高生を圧倒的に凌駕していた。


カチッ


そして、加速は止み、二人は再び重力から解放された。

「よし、これで・・・」

ーーだが再び凄まじい重力の加速が二人に乗しかかる、一時的に時が止まったその前より寧ろその加速力は上がってるように思えた。

「えぇ!?何で時が止まらないのっ!?」

「ああ…やっぱ駄目か……それ俺のせいだわ。実は俺、時を止める能力を無効化しちゃうっぽいんだよね…」

「は?」


何を言ってるのこいつ?

時止めを無効化?


御前崎にこの日最大の混乱が襲いかかる。

確実に時を止めたと思うと止まっていなく、しかも何故か自分を抱きしめている少年がそれを自分のせいだと言い放ったからだ。

このままだと死ぬ。その事実が頭を埋め尽くしたまま聞くその言葉は彼女の脳を恐ろしく困惑させ、逆にこの日最大の平静を彼女にもたらした。

「じゃあ今は無効化させないでくれる?」

「いやだから自分の意志とは関係なく・・」

「今から3秒後にもう一度時を止めるわ。もし貴方がまたそれを無効化したら私達は死ぬ。ただそれだけよ。分かった?」

「……は、はい」

御前崎の脳は生きる為に必要最低限の事を処理するためだけに今は動いていた。

高速で闇夜を落下する、凄まじい速度で迫り来る地面、ありとあらゆる不要な感覚を閉じ、全神経を再び能力の発動に傾ける。


「…3」

「マジかよ…!」


「…2」

「集中しろ俺っ!ノット無効化!!ノット無効化!!」


「…1」

「うわぁぁぁっっっっ止まってくれぇぇぇ!!!!!!」


御前崎にはもう何も聞こえない。

そして、彼女は時を止めた。


風が止み、全ての力から解き放たれる。

そして彼女に聞こえてきた音はーー


「痛っ!!」

軽い衝撃と共に鼓膜に伝わる誰かの声。

御前崎は気づかぬ内に閉じていた瞳を開け、もう慣れた夜の闇を見通す。

「い、生きてる……」

自然と御前崎の口から安堵の声が漏れ、感じる事のなくなった過度の重力を思い、感情を思い出す。

「ははっ!これじゃあ助けたんだか助けて貰ったんだかわかんないなこれっ!!」

御前崎はその笑い声を聞くと不思議と心が落ち着き、そして本能のままにその笑い声の持ち主の手らしき暖かいものを固く握った。


私は…生きてる……!


安堵に満ち、そのまま御前崎は気を失う。

耳元で五月蝿いくらいに鳴る自分の鼓動を聞きながら。











「お前は誰だ。ここで何をしてる?」

「ナッハッハッハ!!『誰だ』てお前!?そんなん答える訳ないじゃろ!?」

「何だと…!?」

十八鳴は突如出現した袴姿の謎の男の一挙一動に注意しながらも問い掛ける。

「さて、儂の名前は明智じゃ。まぁ俗に言うテロリストっちゅうもんになるかいのう!」

「…………それでテロリストがここに何の用だ」

「そりゃお前テロしに来たに決まっとるじゃろっ!というかその前に突っ込まんかい!!」

「……ちっ!何だこいつは」

全身から殺気を撒き散らしながらも快活に笑うその男に十八鳴は舌打ちをしたい思いになる。

そう彼が焦燥していると隣から一人の少年が一歩踏み出で、不敵な笑みを浮かべながらその男に喋りかけた。

「ねぇねぇ、その手に持ってる棒でさっきの紫の閃光を飛ばしたの?」

「お?結構いい勘してるじゃけぇのう!そうじゃあ?儂がこうすれば・・」

「古光っ!!!」


ーー瞬時炸裂する紫の明滅。次いで強烈な衝撃波が瓦礫を吹き上げ、白い粉塵に辺りが包まれる。


「ごほっ…!ごほっ……!!古光、大丈夫か?」

「いや〜。凄いねぇ、アレ。どう?鷹海は見えた?」

「あ?見えた?一応あのハゲが手に持ってる棒を振り抜いた所までは見えたが…それが何だよ?」

「へぇ〜?流石鷹海だね」

片膝をつき白煙の向こうでニヤニヤと笑う坊主頭の男を睨みつけながら、十八鳴は隣で心底楽しそうに微笑む墨岸の肩に手を置き視線を合わせる。

「ナッハッハッハ!凄いやんけ!?お前ら抑止力程強いちゃうんやろ?それにも関わらず二度も儂の太刀を避けるとはのう?」

「太刀……だと………?」

依然笑みを絶やさない袴姿の男は、右手に握る銀の棹のようなものを愛おしそうに眺めながら口をよく回す。

「そうじゃ、儂は現代の侍じゃけぇのう。これが儂の愛刀じゃ。美しいじゃろう?」

「ふ〜ん…刀なんだ……それ。鷹海はアレ、刀に見える?」

「ただの棒だろ」

墨岸は目を細めて制服の埃を軽くはたいた後十八鳴を一瞥し、楽しそうにその肩を叩いた。

「さぁて、そろそろ愉快なお喋りはやめて、本気で行かせて貰おうかのう?儂もこう見えて忙しいんでな」

「ふざけやがって……!」

十八鳴は憤怒を滲ませて拳を強く握り締め、足の裏にまで力を漲らせてある決意を固くする。


こいつ…一発ぶん殴ってやる……!

こちとらただでさえ最近イラついてんだ……!!


「………来るよ鷹海」


そして墨岸がそう呟いた瞬間、三たび紫閃が2人に向かって襲いかかる。

「おらぁっ!!!」

十八鳴は着ていたブレザーを目の前に突き出す。

そして当然の爆発。激甚の暴風に十八鳴は弾き飛ばされた。

しかし彼は直ぐに立ち上がり、猛然と駆け出し始める。

「悪いなぁ!!残念ながら俺はただの高校生じゃないんだっ!!!」

一直線に男の元へ走る十八鳴。

だが男は微動だにせず佇んだまま、ただ一言呟く。


「知っとるけぇのう。お前らが時間操作者(タイム・オペレーター)だって事くらい」


男の右腕が目に見えぬ速度で空を二度斬る。

そして煌めく死の輝き。

紫色の斬撃が十八鳴目掛けて二つ飛んでいった。


しまった……!連射も出来たのか…!

さっきの様に時を止めて不干渉の盾を創る為の媒体も今は無いし、軌道の違う二つの光撃を躱すのも不可能……!

これは……死…………!!!


駆ける十八鳴の足が止まり、死の光が彼の目前に迫った時、不意にキラキラと艶光る何かが彼の眼前に降り注いだ。

次の瞬間、またも壮絶な衝撃音と爆風。

十八鳴は無様に吹き飛ばされ、地面をどうしようもなく転がった。


「何じゃ今のは………?」


そして男は納得いかないとばかりに初めて憎たらしい笑みを崩し、呆気にとられた顔で全身擦り傷だらけとなった十八鳴とその横に実に愉快気に立つ少年を見つめる。


「駄目じゃないか鷹海。生徒会が一般生徒に助けられちゃあ」

「古…光……?」


真っ黒い髪を頭に撫でつけ神経質そうな三白眼を見開くその少年、墨岸古光は両手をポケットに突っ込み大きく舌舐めずりをした。


「気をつけなよ鷹海。こいつはただのテロリストじゃない。フリーメイソンだよ」

「フリーメイソン…だと……!?」


墨岸の口から漏れたその言葉に汚い無精髭で草履を履き潰したその男、明智は濁り切った黒の両眼を見開き再び笑みを戻す。


「よう分かったなぁ。こりゃ尚更殺さないといけないのう?」


だがその取り戻された笑顔は先程までと違い、狂人の如き邪悪さを全面に映し出していた。











何処から何かが爆発するかのような平和な日常ではまず聴く事のない異常な音が響く。

それを耳に入れた桑場屋武蔵は尋常ならざる胸騒ぎを覚え、自然と大量の冷や汗が彼の額をつたった。

「さて……どうしたものか…ていうかとりあえず気絶しちゃったこいつをどうにかしないとな」

桑場屋武蔵の中では不安や期待、何よりこの異常事態への混乱が渦巻いていた。だが彼は一旦それらの心配事を隅に置いて、隣で気を失ったままの御前崎へと関心を移した。

「よっこらせっ………とにかくこいつを医務室に運ばないと………あの殺人ロボットの事はその後考えよう。まぁ多分今頃旅館の中は大騒ぎだろうな。あれだけの銃声が響いたんだ、誰かしらは異常に気づいただろう」

御前崎を背中に担ぎ、桑場屋武蔵は旅館への入り口を求めて動き出す。


ここは大体正門の反対側か……?


山奥にある旅館と言えども如月の周りはきちんと整備されていて、完全な夜闇であっても街灯などのおかげで道を失う事はなかった。

「はぁっ……はぁっ………こいつ見かけによらず結構重いな」

桑場屋武蔵は歩く。歩けば歩く程段々と彼の中の混迷は萎んでいった。

そうすると彼の思考はゆっくりと数分前の出来事へ近づいていく。


俺はずっと自分が時間停止を無効化してしまう力を持っていると思っていた……


息を荒くしながら歩く彼の目に入り口らしき透明の自動ドアが映る。

ドアの内側が不自然に暗い事がやや気がかりになりながらも彼は歩く速度を上げた。


でも、さっき俺は……御前崎が撃たれそうになった時俺は…………


歩行スピードをどんどん上げながらも、桑場屋武蔵は懸命に過去のある時点の記憶と感覚を呼び戻そうと試みる。


俺は………御前崎(こいつ)をどうやって助けた?俺はあの時……俺は自分の時間を…………


「………着いた」

桑場屋武蔵は明らかに開閉機能の備わっているガラスの扉の前に立ち、半分上の空で立ち尽くす。

瞳に映るのはありふれた旅館の内装風景、しかし何故か照明が落ちているのでその豪華さは薄気味悪さすら醸し出していた。

「…ん?なんか暗くね……?って違う違うっ!!!そこじゃないそこじゃないっ!!何で!?何でこのドア開かないの!?!?」

ここでやっと桑場屋武蔵は自分が立ち止まっている事のおかしさに気づく。

自動開閉式扉の目の前で立ち止まらざるを得ない事の不条理さに彼の中の混乱と不安感が湧き戻ってきた。


「貴方は本当に頭が悪いのね」


そんな桑場屋武蔵の耳元で人を小馬鹿にするような態度でアルトの声色がする。

「うわっ!?御前崎?お前目が覚めたのか?」

「ええ。だから早く降ろして頂戴。貴方みたいな低脳にいつまでもおぶられていると私にまで馬鹿が移るから」

「〜〜〜っ!!はいはい分かりましたよ!さっさと降りろこの毒舌性悪女っ!!」

「私みたいのは毒舌とは言わないわ。ただ口が悪いだけ」

御前崎は軽やかな動きで桑場屋武蔵の背から降りると髪を軽く手ぐしした後、軽く紅潮した顔を手で扇ぎながら話し始める。

「それじゃあ色々と状況を整理しましょうそこのマリモ君。まずこの旅館は既にテロリストの手中にあるわ。ほとんどの扉にロックがかけられている筈よ。外部と繋がるそこの扉みたいなのは特にね」

「は?テロリストっ!?!?あの殺人ロボットはテロリストに改造されてたのか?」

「いえ、多分違うわ。恐らくテロリストがマザーコンピュータを乗っ取りこの旅館全ての機能、UDEMOも含めて掌握したのでしょうね」

「それって……つまり…………?」

「かなりの確率で他のUDEMOも全ても鋼鉄の殺人鬼に変化していると思うわ」

覚醒した途端にベラベラと喋り始める御前崎の言葉の一つ一つが桑場屋武蔵に途轍もない衝撃を与え、彼は絶句に顔を染める。

「それって……超やばいんじゃないか?今もこの旅館の中であの殺戮マシーンが動き回ってんだろ?」

「ええ。非常に今は危険な状況よ。旅館の中では先生達が対応しているとは思うけど、敵の戦力がわからない以上、待てばいいという訳にもいかない」

「マジかよ……テロとか…まるで現実味がない…………」

御前崎は小さな電子機器を取り出し何やら素早く操作をすると、あからさまに舌打ちをして再びそれをポケットにしまった。

「……やっぱり通信は妨害されてるわね。仕方ない、今私達に出来る事はたった一つ。今からマザーコンピュータのある場所に行くわよ」

「え?」

桑場屋武蔵は毅然とした表情で当たり前のように断言した御前崎を見て、困惑に顔を歪める。

「お、おい!そんな所に俺達が行って何になるんだよ!?相手は本物の犯罪者なんだろ!?さっき殺されかけたばかりだろっ!?!?俺達一般の学生がどうにか出来る次元じゃないっ!!」

桑場屋武蔵は思わず怒鳴り声を上げてしまう。しかし御前崎は全くそれを意に介さず、涼し気なままで、逆に彼の瞳を射抜き言葉を返す。

「私達が普通?本気で言ってるの?」

「え?……そ、それは…………」

予想外の返しに桑場屋武蔵は言葉を詰まらせる。

「私達はただの一般生徒じゃない。時間操作者(タイム・オペレーター)よ。しかも私はその中でも高位の存在として生徒会に所属している」

「でも俺は・・・」

「私はさっき死んだと思った」

桑場屋武蔵の言葉に被せるように声のトーンを一段上げた。

「でも私は気づけば貴方に抱かれ宙に浮いていた」

「…………」

「私は貴方と違って馬鹿じゃないから、貴方に助けられたって事くらい分かる。結構重かったらしいから一応感謝はしておくわ」

「結構前から起きてたんだな……」

「どうやって貴方があの状況を創り出したのかは分からないけれど、これだけは分かる」

御前崎が言葉を切り、彼女の艶やかな髪が夜風に揺れる。

桑場屋武蔵はそれを何も言わず、自分自身と向き合うかのように澄んだ瞳でただただ見やるだけ。


「貴方は特別よ。私なんかよりもよっぽどね」


一瞬の静寂、桑場屋武蔵は答えない。

口を閉ざしたまま、澄み渡った茶色い瞳を濁りなき春の夜空に目を泳がす。


「私達は時間操作者(タイム・オペレーター)。他の人とは違う、特別な存在。でもこの大きな力にはそれに見合う責任が伴うの。悲劇の時間を止められるのは私達だけなのよ」

御前崎はそこまで言い切り、桑場屋武蔵の思慮深く空を眺める瞳に返答を待った。


「いや、俺には止められない」

「……貴方……」


しかし、やっと呟かれた桑場屋武蔵の言葉に御前崎は落胆するかのように溜め息を漏らす。


「ーーでも。誰よりも早く皆を救う事は出来る」

「…………え?」


だが桑場屋武蔵は御前崎へと視線を戻し、先程と同じ澄んだ瞳を彼女に注ぐ。

そして次の瞬間放たれた彼の言葉に、肩を落としかけた彼女の目が戸惑いに白黒させられ、珍しく言葉を失った。



「だって俺は、時間を止める事は出来ないけど、時間を加速させる事は出来る時間操作者(タイム・オペレーター)らしいからな」



何処からかまたもや耳を劈く爆発音がこだまする。

しかしそれすらも最早御前崎の耳から脳に届く事はなかった。








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