ふたたび、満月
桂月がいなくなったこと以外、変わらない毎日が続く。
半円の月は徐々に丸みを帯びていき、桂月と出会ったときのように満月が空に浮かぶ。
すっかり日も暮れ、それでも月明かりでうっすらと明るい中、駅からの道を歩く。
待つ人のいない部屋に帰るのにもなんとか慣れた。
いつものようにコンビニへ寄り、軽く食べられるものを手にする。
そういえば、桂月と出会った日にもコンビニへ寄ったっけ。
そんなことを考えながら…。
コンビニを後にし、家路をたどる。
桂月と出会ったガードレール。
さすがに人の姿はなかった。
満月だから…逢えるかもと期待した自分。
世の中そんなに甘くはない…。
アパートのドアを開け、部屋の中に入る。
「お帰り」
そんな声が聞こえてきそうなほど、桂月がいた頃と何も変わらない部屋の中。
不意に自分の頬が濡れているのに気付く。
「やだ、なんで泣いてるの…?」
自覚してしまったものは止まらない。
溢れてくるものをどうすることも出来ない。
桂月がいないことで心に空いた穴。
埋めてくれるのは桂月しかいなくて…。
でも、その桂月はいなくて。
逢いに行こうにも、桂月の連絡先なんか知らなくて。
桂月の笑顔。
桂月の声。
桂月の温もり。
そのすべてが愛しくて。
年下なんだけどな…。
これって恋だよね…。
今更気付いたって、もう桂月はいないのに。
月が欠けていた頃にはわからなかった気持ち。
そんなわたしを包み込むように優しい光を放つまるい月。