表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Moon  作者: まりす
4/6

上弦の月

月が徐々に満ち始める。

仕事帰りに空を見上げると、東に傾く優美な細い月の姿。

その姿を見ながら、桂月のことを想う。


…桂月は出ていってしまった。

ある日、

「ここにいると、柚衣さんに甘えてしまうから」

とわたしに告げて。


桂月と暮らして約3週間。

そこにいるのが当たり前のように、わたしの風景の中に溶け込んでいたから、いざいなくなってしまうと、いないことに不快なほどの違和感を感じた。


ただ一緒にいる。

それだけのことが、こんなにも心の中を占めていたなんて。


桂月のいない部屋に入る。

3週間前だったら当たり前のこと。

けれど、この不快な想いはどうすれば消えてくれるのだろうか。


逢いたいのかと問われれば、わからないと答えるしかない。

この想いが恋愛感情なのか、それすらもわからない。


ただ言えることは、桂月の存在はもうなくてはならないものになっていたということだけ。


「迂闊だよなあ…」

3週間も同じ部屋で過ごしておきながら、彼の連絡先を知らなかった。


連絡先を残さずに出て行った彼は、今頃どこで何をしているのだろう。


彼を探すことも出来ず、不快な思いを抱えたまま、日々は過ぎていく。


細身の月は少しずつ、形を変えていき、空には半円の月が浮かぶ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ