神様の苦労の一日。~俺、働きたくないから皇級神になる!~
「おふぅ!」
痛ってぇ
「おいおいおい。布武様。暴力はよろしくないぜ。」
蹴られた横腹が痛む。
「お前がそれくらいで痛むとは思わんが。創輝。」
クソ。バレたか。
実際、一応武力の神様だが俺には通じない。
「さぁこい。働いてもらおう。」
「嫌だぁ!いいじゃん。人間放っておけば勝手に物作るんだから!」
俺の仕事は人間の創造を手助けするような感じの仕事だ。
簡単そうに見えて一切簡単じゃない。
急に発展すれば、神様に近づきすぎる。
近づけば、人間は死ぬ。
そこら辺のぎりぎりを攻めるのがすさまじく難しいのだ。
人間の宗教の一つでバベルの塔というやつがあるだろう。
あれがいい例だ。
あれが起きたのも一部俺の責任だ。
「そういう問題じゃない!人間は少しずつ進化しなければいけないのだ!」
「なんでだよ。考えろ。今人間は、パソコンとやらがあるじゃないか。あんないいものがあるのに何でこれ以上……」
「うるさい!そういうのは皇級神に聞いてこい!」
そんなの無理に決まってら。
神様にも階級というのはある。
俺はその中の中級神という真ん中の神様だ。
そして皇級神は一番上の階級だ。
どれくらい人間を増やすか。
どれ程優れた人間を作るか。
そういうのの最終決定権はそいつらにある。
つまるところ、王様だ。
「無理に決まってんだろ!」
「だったら仕事を片付けろ!量子コンピューターの開発を急げ!上がそろそろうるさい!」
「唾飛ばさないでください。うるさいですよ。禿げますよ。」
「うるさい!早くやれ!」
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
……………皇級神。そうだ!なればいいんだ!仕事しなくてよくなる!
やっぱ俺って天才!
「布武!俺、皇級神になってくる!」
「は?何言ってんだお前。昇級試験受けるのか?」
「力づくじゃい!」
後ろで、は?は?と聞こえた気がするが、気にしない。
俺は働きたくない。
我ハタラキタクナイデゴザル。
その思い一身にさっさと皇級邸のほうに飛んでいった。
勢いで飛び出したが、特に計画がない。
とりあえず、皇級邸についた。
ここに忍び込み、ここに住む皇級神「空器」を倒す。
空器はいわゆる四天王の最弱的な存在だ。
皇級神は4人どころか10数人いるけど。
ちなみに神様は人間のどこかの宗教では「柱」という単位で数えるらしいが、天界ではいろいろ呼び方がある。
俺みたいに何人とか、何柱とか、何神とか、何私とか。
たくさんある。
この天界では、上の階級の神様を倒せばその階級になれる。
昔人間が争っていたのと同じで、神様も争っていた。
だから昔の風習で強い神様が上になるということらしい。
倒すというのは、もちろん殺すということだ。
殺すといっても神様の核、人間の心臓みたいなものを壊すのだ。
そうすれば、そいつは体が崩れる。
で、殺した奴が昇格できるわけだ。
殺しても、消えるわけじゃない。
体がどっかで再構築されて、降格してまた働くだけだ。
適当に昇格のための復習を終えると、前の屋敷を見る。
そして考える。そうだ。
何とかなるさ。
そう思い、屋敷に突撃した。
もちろん、正門から入るほど俺はバカじゃない。
聡明な俺は、もちろん塀の横の方から入る。
よじ登り降りると、屋敷の壁に防犯カメラが!
すぐさま、力を使う。
監視カメラの前にこの庭の景色を書いた紙を張り付ける。
そしてサイレンサーをつけた拳銃でねらいをつけ、射撃をする。
パリンというガラスの割れる音がして、監視カメラは壊れる。
俺の能力は遠い標的にも有効なのですごく便利である。
パリンという音を聞きつけたのか、正門を警護していた神使がこちらに寄って来た。
よし。予定通り。
今正門に兵はいない。
俺は急いで、壊れた監視カメラと俺が作った偽物の監視カメラを遠距離から取り換える。
そして急いで地面に穴を創り、その中に隠れ、上を閉じた。
ところどころ穴をあけたので全然見える。
「音がしたが…何にもないな。」
「ほらいったろ。神経質すぎるんだよ。」
そういってそいつらは正門に帰っていった。
よし今のうちに……あれ。今あいつら戻ってるから……意味ねぇ。
詰めが甘かったと後悔しながら、地面から出る。
こうなったら窓から入るか。
そして、一番近い窓に近づく。
手にドライアイスを持つ。
もちろん分厚い手袋をつけてからだ。
窓に近づけ、ガラスを冷やす。
そして、ライターを持ち、冷やした部分に火をつけて近づける。
ひと時すると、パリンという音を鳴らしガラスが割れた。
なんかの本でこうなると知った。
早速割れたところに手を突っ込み、ガラスの錠を開ける。
そのまま侵入に成功する。
ここはどうやら倉庫らしい。
早速あまり人がいないあたりの場所を引いた。
そのまま倉庫の扉を開ける。
「あっ。」
やべぇ。早速神使に会ってしまった。
「何をしているですか。暇なら掃除をしてください。」
えっ、どゆこと。
「神使ですよあなたは。寝ぼけましたか。」
意味が分からないという顔が前面に出ていたらしい。
そういってその神使は急ぎ足でどこかへ行った。
……俺そんな神使みたいか?
確かに翼は生えてる。それも神使に似た小さい翼だ。
そのうえ、白い髪だ。
確かに似てはいる。
だが服装でわかるだろ。
Tシャツに長ズボンだぞ。
わかるだろ。
まぁそんなこと言ってもだ。
見逃してもらえたのだ。
気にしてはいけないだろう。
『侵入者。侵入者。Tシャツに長ズボンを着た神使に似た男。繰り返す。Tシャツに……』
クソがーーーーーーー!!!!!
俺は空器のいる部屋を探しながら走り出した。
どこだどこだ!
神使はもう何人も来ている。
だが、服を神使と同じものを作り、着ているのでばれていない。
走りながら、焦ったような顔をしていればOKだ。
一通り屋敷内を走っていると、一段と豪華そうな扉を見つけた。
明らかすぎるぜぇ。空器さんよぉ。
俺はうれしくなりながらその扉の前に立った。
そして、俺はLMGと呼ばれる携帯型機関銃みたいなやつを持つ。
呼吸を整え、部屋に入る準備をする。
「ふぅ。…いくぞ。」
俺は一瞬だけ散弾銃を創り、鍵のついている部分に射撃する。
バンという音が鳴り、扉が開いた。その瞬間俺は散弾銃を無くし突入する。
すぐさま、LMGを乱射する。
ズダダダダダダというような音が鳴り響く。
部屋全体にばらまくように射撃する。
「ひ……ぞ!」
「だ…だ……え!」
銃声にかき消され、何か言っているようだが聞こえない。
だが、突如銃声が消えた。
そう、弾切れだ。
あんな連射すれば当たり前か。
あんなに撃ったのに空器は一切傷がついていないようだ。
そう簡単じゃないか。
なんたって空器は天候を操るもんな。
その天候は風もなぜか含まれる。
どうせそれで軌道を変えたとかだろう。
「君は…誰だ?」
そういってきた。
こんな中級神なんて知らないか。
こういう時はこう返すのが普通だ。
「俺に買ったら教えてやろう。」
俺はそういって背中に機械でできた腕を生やす。
こいつを出すのは階級戦争以来だ。
「その後ろにある蜘蛛みたいな6本の機械の腕。創輝だね。」
「知己を得て光栄です。」
そういって俺は蜘蛛みたいと言われた腕に大砲、重機関銃、レールガンを持たせる。
レールガンは俺が作ったやつだ。
そして、すべての兵器を一度に射撃する。
ドォォンというような爆発音が部屋に轟いた。
煙が舞い、あまり視界が確保できなかった。
そんな視界に一つの青い光が入って来た。
その光は、こちらに向かって飛び俺の腹にきれいに当たった。
「痛った。」
俺は雷で焼けた内臓と皮膚を新しく創り、取り換える。
「便利な能力だね。」
あぁそうか。
こいつ、天候を操れるんだから雷を撃てるのは普通か。
俺は追撃しようとしてきたそいつの火の手から逃れるために背中の腕を動かす。
一気に横に移動する。
火の手って、どういうことだ。
…なるほど。晴れってことか。
太陽の力を使うってか。
神の力っていうのは解釈によっていくらでも捻じ曲げられる。
そんな都合のいい奴だ。
無理な解釈はだめだが。
…………あんま使いたくなかったが。
やらなきゃこっちがやられそうだ。
ということで俺も解釈を変える。
そして、創る。
力を。
能力を。
神の力を。
「神の力無効化する力。創造。実行。」
そう一言つぶやく。
そして背中の腕にさっきまで持っていた兵器たちを持たせる。
「無駄だよ。学ばないねぇ。まっ、中級にしてはよくやったよ。」
そういって調子に乗っている。
そんなそいつに向かってただ一言。
「俺の勝ち。」
そうして俺は乱射を開始した。
「おい!創輝!お前、どんな手を使いやがった!」
「ただ戦って勝っただけだよ。中級神君。」
「畜生!ちょっと前まで俺が偉かったのに!」
「アッハッハッハ!」
うはぁ!楽しい。
偉そうに働けと言っていたやつを見下せるなんて。
だけど、
「前より仕事増えてない?」
「当たり前だろ。お前は人間界でいう、政治家だぞ。または社長。」
まじか。働かなくていいと思ってたのに。
だがあくまで許可証を出したり、皇帝神に報告書を出したりするだけだから案外楽だったりする。
「とにかく、どうやって空器に勝ったのか教えてもらおうか。」
「えー。めんどくさいなぁ。まぁいいだろう。話してやるよ。」
そして俺はどれだけ俺がかっこよく空器に勝ったのか誇張をほんの少しだけ入れながら話し始めた
ここまで読んでくれた読者様に感謝を。やけくそで書いた話ですが、どうでしょうか。もしよろしければコメント等、辛口でも構いませんのでお願いします。




