9-3・大魔会の襲撃
-21時-
「んぢゃっ!また明日ねぇ!」
「おうっ!」
紅葉を自宅(サンハイツ広院)まで送り届けた後、YOUKAIミュージアムに戻る為にバイクを走らせる。
紅葉には大魔会の件は説明していない。話したら俺以上に激怒をして、売られた喧嘩を買いそうだ(喧嘩じゃねーけど)。
「・・・ん?」
YOUKAIミュージアムから50mくらい離れた路肩に、往路では確認できなかったワンボックスカーが停まっていた。
「まさか・・・な。」
念の為に警戒をしながらチラ見をしたら、ナンバープレートはレンタカーの文字。運転席に男が1人。後部座席は窓にスモークが貼ってあってハッキリとは見えないが、何人かが乗っているように感じられる。
「おいおい・・・いきなりかよ?」
砂影ババアの情報では、大魔会の離反者とやらは3人いるらしい。車内の人数までは確認できなかったが、可能性は有りそうだ。焦る素振りを見透かされないように気を付けながら、玄関先にバイクを止めて粉木邸に入る。
「おい、爺さん、狗っ!なんか怪しい奴が、こっちを観察しているぞ!
まぁ・・・全然関係無いヤツ等かもしれないけど。」
「もう、来たんか?」
狗塚が窓際に寄って外を確認したら、3つの人影がこちらに歩いてくるのが見える。
「退治屋と大魔会の不可侵を破るだけでも問題なのに、
堂々と仕掛けてくるなど有り得ん!」
「連中が本部からの援軍を全滅させたのが事実ならば、充分に有り得る話や。」
「そんなヤバい奴等ってなら・・・」
「無論、先手を打って出鼻を挫く!」
狗塚がYウォッチを構えたので、俺も同様の行動をして臨戦態勢を整え、物陰で息を潜めながら様子を確認する。
-YOUKAIミュージアム駐車場-
大柄の東洋人1人と、スマートな西洋人2人が並び、斧を模したベルトのバックルを展開して、それぞれ、『Og』『Sp』『Go』と書かれたメダルを嵌め込んだ!
「マスクドチェンジ!!」×3
《OGRE!!》 《SPRIGGAN!!》 《GOBLIN!!》
電子音声が鳴ると同時に3人の体が光に包まれ、3体の異形の戦士が登場!両刃の大斧を装備した赤い巨漢戦士、ダガーナイフを持った青い戦士、レイピアを持った緑色の戦士。武装化の過程は妖幻ファイターと似ているが、現れた姿は全くの別物。妖幻システムは東洋系の鎧、奴等は西洋騎士の鎧。
名称をマスクドウォーリアという!
「突入だ!」 「おうっ!」×2
3人は、巨漢が粉木邸へ、スマートな2人がYOUKAIミュージアムへと駆け出す・・・が、遮るようにして、粉木の爺さんが立ち塞がった。
「何用や?茶店はもう閉めたーる。客やったら明日にでも出直さんかい!
尤も、オマン等のような物騒な格好の客やら、出入り禁止やけどな!」
「ん?何だオマエ!?」
「この家の主や!家のもんがわしの敷地におるだけなのに何驚いてる!?」
「家の主?そうか、テメーが退治屋の文架支部長か!」
「そうや!何用があって、此処に来たんや!?」
「テメーが、形を変えてパワーアップをした妖幻ファイターか!?」
「会話がしたいなら、先ずはその物騒な武装を解かんか!
それは、話をする為の格好ではあらへん!」
「会話?もちろん話す気はあるさ!
手足をヘシ折り、まだ口を開ける範囲で血祭りに上げ、
テメーの妖幻システムをいただいたあとでな!」
「・・・日本語は話せるが、言葉は通じんようやな!!」
問答無用で飛び掛かってくるマスクドウォーリア達に対して、爺さんは素早く数歩後退・・・次の瞬間!
「おぉぉぉぉっっっっ!!!アカシック・アタッッッーーーークッッッッッ!!!」
「なにぃぃっっ!!!?うわぁぁぁぁっっっっっっっっっ!!!!!」
輝く鳥と化した狗塚(妖幻ファイター)が、流星のように光の尾を伸ばしながら、低空飛行で突っ込む!そして、巨漢の背後にいた青いマスクドウォーリアに衝突して弾き飛ばした!
開いていた翼を閉じて着地をする狗塚(YF)!その背後で、直撃を受けたマスクドウォーリアが落下!気絶して変身が解除される!
「チィィ!やってくれるじゃね~か!!」
「オマエ等が問答無用なら、俺達だって問答無用だ!」
狗塚(YF)は、銀塊に込められた霊力で消耗したエネルギーを補充しながら、鳥銃・迦楼羅焔の銃口を、緑色のマスクドウォーリアに向けた!
俺(YF)は、爺さんを庇うようにして、赤い巨漢のマスクドウォーリアの前に立つ!
「ダイマカイだかなんだか知らないけどさ、随分と凶暴な連中だな!
アンタ等が、本社からの援軍を襲ったのか!?」
「ザコ30匹のことか?弱すぎて、暇潰しにもならなかったぜっ!」
「やっぱり、オマエ等がっ!」
巨漢のマスクドウォーリアが大斧を振り下ろしたので、妖刀で受け止める!大斧の刃は退けたが、力負けをして吹っ飛ばさた!それを見た狗塚(YF)が、銃で赤い巨漢と緑の細身を牽制しながら寄って来る!
「未熟者!
あからさまなパワーファイター相手に、正面から力で張り合ってどうする!?」
「悪ぃ!ちょっと、頭に来ちゃってさ!」
「気持ちは解るが、カッカして冷静さを失うのは別の話だ!
コイツ等に文句があるなら、戦闘力を奪ってから唾でも吐きかけてやれば良い!」
「うわ~・・・過激だな。だが、そのセンでいこう!」
狗塚(YF)が差し出した手を頼って立ち上がり、再び妖刀を構える!
「デカブツを任せても良いか、佐波木!?」
「あぁ!やってやるよ!!」
「君が‘赤’を牽制している間に俺が‘緑’を倒す!
奴がどんな技を持っているのかは解らないんだ!深追いはするな!」
「・・・了解!」
互いの顔を見て頷き、俺(YF)は妖刀を振り上げて赤いマスクドウォーリアに飛び掛かり、狗塚(YF)は銃口を緑のマスクドウォーリアに向ける!
「フン!俺達を舐めるんじゃね~ぞ!ロバートは不意打ちでやられただけだ!」
「舐めているつもりはない!!」
緑のマスクドウォーリアは、懐中時計型のアイテム=【AKURYOUウォッチ】から『Ko』と書かれたメダルを抜いて、レイピアの柄にある窪みに装填!魔方陣が現れて、犬に似た頭部を持つ人型生物=コボルトが出現して、狗塚(YF)に飛び掛かる!
「・・・なにっ!?」
「ひゃっひゃっひゃ!驚いたか?やはり、舐めていただろう!!?」
大魔会のシステムは退治屋の妖幻システムとは違って、怪物を召還できる!狗塚は、この技術は想定していなかった!
「チィ!厄介な!」
狗塚(YF)は、2歩ほど後退して構え、妖槍ハヤカセを召還して構え、コボルトの攻撃を受け止めた!その頭上から、レイピアを振り上げた緑のマスクドウォーリアが襲い掛かる!
「し、しまった!」
「俺達と退治屋じゃ、格が違うんだよ!!」
蹴りでコボルトを退けた直後の狗塚(YF)に、緑のマスクドウォーリアが放った突きが炸裂!火花と小爆発を上げながら弾き飛ばされてしまった!




