紅葉の視点・闇の呼び声
「・・・紅葉?」
燕真の声が聞こえたので、目を開ける。燕真、元気になってくれたみたい。ァタシゎ疲れちゃって、燕真の体の上に乗ったまま動けないんだけど、スッゲー嬉しい。
「・・・良かった。ちゃんと帰ってきたんだね、燕真。」
「あぁ!だって、オマエが導いてくれたんだろ!!」
「・・・ぅん」
「オマエは大丈夫なのか?」
「・・・ぅん。・・・チョット疲れちゃったけどね。」
「なぁ、紅葉・・・オマエ、ガキの頃・・・・・」
「ん?」
「いや・・・何でもない!大切なのは、過去じゃなくて、今だ!!」
燕真ゎ、グッタリしてて動けないァタシを優しく退かしてから立ち上がって、いつもみたく格好良くビシッとポーズを決めて妖幻ファイターになったの。そしたら、ァタシが燕真を治してあげるために使った霊力が、燕真の体から出て一個の光の塊になって浮かんでたの。
「これは・・・俺を導いてくれた光。・・・紅葉の光?」
《EXTRA!!》
燕真(妖幻ファイター)が触れた途端に全身が光って、鎧がいつもよりも豪華版に変わっちゃったからビックリしちゃった。でも直ぐに解ったよ。豪華版ゎ燕真(妖幻ファイター)に力を貸してくれている閻魔様が、いつもよりもいっぱい力を貸してくれてる姿なの。燕真が闇の力をやっつけたから、閻魔様が御褒美をくれたんだよ。
「お嬢が闇を封じ込めた結果っちゅうわけか?」
燕真を死なせたくなくて必死だったから、ァタシが何をしてあげたおかげなのかゎよくワカンナイ。でも、燕真をパワーアップさせちゃったァタシってスゴくね?
「そっか・・・ありがとな、紅葉!!」
「ガンバレ・・・60点。」
「おうっ!いってくるっ!」
燕真ゎマシンOBOROを召還して飛び乗って、富運寺に向かってった。いつもみたく、ァタシも一緒に行きたかったけど、燕真を助けてあげたせいで疲れちゃって動けないからチョット無理っぽい。
「・・・燕真」
爺ちゃんゎ心配そうに燕真を見送ってるけど、ァタシゎ今の燕真ならダイジョブって解ってるから教えてあげた。
「燕真ゎ足が痛くてビリなのに、最後まで走ったんだよ。
泣きたぃクセに、優しぃの。」
「何の話や、お嬢?」
「えへへ・・・ヒミツ。
みんなにゎ役立たずかもしれなぃけど、ァタシにはスーパーヒーローなんだょ」
「そか・・・なら、オマンが応援すれば、負けるわけがないのう。」
「・・・ぅん!」
諦めずに走り続けた‘ゼッケン60番’の姿ゎ、小さかった頃のァタシに「頑張る」ってことを教えてくれた。「頑張れば、ダメなりに何とかなる」って考えるようにした。それまでのァタシゎ、みんなから「お人形さんみたい」って言われてて、人見知りでお友達が居なかった。でも‘ゼッケン60番’のおかげで「頑張る」ようになった。
半年前の秋、数年ぶりに‘ゼッケン60番’に再会をした。県外で知り合った彼に、文架市で再び会えるとは思っていなかった。初恋の相手に、第一声で「60番」と言いそうになったけど、「もし別人だったら?」「覚えていなかったら?」って考えちゃって、咄嗟に「60点」と言い直しちゃった。でも「60点」と接して、彼が「60番」って解った。
「アイツゎ・・・ずっと前から、ァタシのヒーローなんだもん!」
ァタシが燕真に隠していた気持ち・・・それは、今の燕真に対する想いと、何年も前から、燕真を慕っていた想いなの。
-十数分後-
周りの町並みゎ、普段と何も変わらない。文架市の人々は、いつも通りの夜を過ごしている。
だけどァタシにゎわかる。ここゎ富運寺から離れてるのに、周辺の空気がドンヨリしてる。地鳴りみたいなのが空気を伝わってお腹に響いてくる。
「なんや・・・あれは?燕真達は、何と戦っておるんや!?」
ここからでも見えるくらい大っきな黒いヤツが、富運寺に立ってる。アレが酒呑童子ってヤツ?燕真達の鬼退治ゎ失敗しちゃったの?なんか、すっごい苦しい。
「体が・・・あの怪獣に引っ張られる・・・。
気が・・・遠くなる。」
「しっかりせい、お嬢!結界が効いてる車庫に入るんや。」
「ぅん・・・」
車庫の中に入ったらチョットだけ楽になったけど、体が引っ張られそうになる感じゎまだ続いてる。
「体力が消耗しとるお嬢では、あんな邪気に当てられたら、一溜まりもないがな!」
爺ちゃんがギュッてして、周りに護符を並べてから呪文を唱えて、ァタシを守ってくれた。
「ワシができる中で、最大の防御や!?これでちっとは楽になるはずやで!」
「・・・ぁ、ぁりがとぅ・・・じぃちゃん」
鬼のオヤブンゎ復活しちゃったのかもしれない。もしかしたら、もっとヤベーもんが暴れてるのかもしれない。
「だけどね、アイツゎ燕真なんだもん・・・絶対にダイジョブ!」
7年前のあの日、「最後まで走る事を止めなかった」ように、ァタシのお願いに応えて「絶望的な闇から帰還してくれた」ように・・・燕真ゎ諦めずに頑張って、必ず笑顔で帰ってくる。ァタシゎ信じてる。
-更に数分後-
燕真達が頑張ってくれてるみたいで、少し楽になった。車庫の外に出て富運寺の方を見たら‘光る鳥’が大っきな黒いヤツに突撃していくのが見える。
「あれは・・・狗塚の‘迦楼羅変化’やな!」
「・・・綺麗」
妖気がビンビンに弾けてるのを感じる。夜だし、何百メートルも離れてるから目でゎあんまり見えないんだけど、ここにいても、燕真達と黒くて大っきいヤツが戦ってるのがわかる。
「んぉぉっっ!?真っ黒いヤツの妖気がスッゲー減ったっ!」
決着が付いたみたい。ドンヨリが消えてく。
〈オォォォォォォォォッッッッッッッン!!!
・・・見付ケタゾ・・・其処ニ有ッタカ・・・我ガ・・・タ・・マシ・・・〉
夜だし遠いから見えないはずなのに、黒くて大っきいヤツがァタシを見てるのがわかる。
でもね、なんでかわからないんだけど、怖い感じぢゃないの。さっきみたいに無理矢理ァタシを引っ張ろうとしてるんぢゃなくて、「おいでおいで」「寂しいよー」ってァタシのこと呼んでるみたいなの。
「・・・パパ?」
「お嬢っ!何処に行くつもりや!?」
「んぁぁっ!?」
爺ちゃんに腕を掴まれて声を掛けられて初めて気付いた。ァタシ、富運寺に向かって歩いてたみたい。
「怖っ!やっべぇ!ァタシ、もしかして夢遊病みたいなヤツ?」
ァタシが我に返ったあと、黒くて大っきいヤツゎ完全に消えちゃった。他の鬼達のイヤなモヤモヤも全部無くなってる。
「終わったようやな。」
「うんっ!燕真達の大勝利だねっ!」
爺ちゃんが「もう大丈夫」って言ったから、超頑張ってくれた燕真を迎えに行く為に、富運寺に向かう。
今日ゎいっぱい疲れちゃったけど、そんなのどうでもイイや。帰りゎもちろん燕真のバイクの後ろに乗って、燕真のお腹が潰れちゃうくらいギューってしてあげたい気分だよ。




