1-6・絡新婦
勢い良く突入したツインテール少女は、生徒玄関で憑かれた生徒達に襲われている。
「・・・たくっ!再放送か!?アイツ、何しに来たんだよ!?
これじゃ、助ける前と変わらないぞ!」
溜息をつきつつ、少女の前に割り込んで妖刀を振るい、生徒達の闇を祓う。生徒達は一様に穏やかな表情を取り戻して意識を失った。
「無謀すぎる!ちゃんと考えてから動けってのっ!」
「だって、60点がァタシを守ってくれるんでしょ?」
「まぁ・・・結果的にはそうなったけど・・・。」
「なら、ダイジョブぢゃん!
本体ってゆーヤツの居る場所を教えたげる!早く行こっ!」
「解るのか?」
「んっ!屋上がすっげー汗臭い感じだから、ゼッタイに屋上にいるよっ!」
妖怪には、人間の魂を捕食するタイプと、人間の血や肉体を捕食するタイプがいる。今回の妖怪がどちらのタイプかは解らないが、潜伏を諦めて実体化をしたということは、何らかの手段で捕食をするつもりだろう。早期に決着を付けなければならない。
「屋上で間違いないんだな!?」
ツインテール少女を守りつつ、襲い来る憑かれた生徒達の闇を祓いながら、階段を駆け上がった!
-校舎屋上-
塔屋の外壁に、まるでシミのように、全長5mくらいの8本足の影がある。
「あれ・・・か?」
「ぅんっ!アレだよっ!」
「影を切れば良いのか?」
「ァタシに聞かれても良くわかんないよぉ~。
やっつけるのゎ、60点のお仕事でしょっ?」
「まぁ・・・そうだよな。」
無関係のド素人少女に質問をしてしまったことを恥ずかしく思いつつ、妖刀を構えて天井の影を睨み付ける。だが、踏み込もうとした瞬間、8本の巨大な足を背負った女生徒が屋上に飛び出してきて、俺は羽交い締めにされてしまう!
「し、しまった!!気付かなかった!!」
「えっ!?アミィ!!!」
昨日、公園で救助したボブカットの少女だ。また、子妖に憑かれてしまったらしい。
「おぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ・・・母様は・・・私が守る!!!!」
子妖を背負った少女が壁の影に手を伸ばした!壁から染み出した糸が、子妖を背負った少女の腕に絡みつく!
〈おぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ・・・デカシタゾ・・・可愛イ・・・我ガ子ヨ!〉
「クソォ!何て力だ!!」
床を滑り壁の影に引き摺られていく!本体は、女子生徒諸共に俺を食おうしているようだ!
「アミィッ!!やめてぇっ!!」
ツインテールの少女は、必死になって友人の腰にしがみついて捕食を阻もうとする!しかし、女子高生程度の腕力ではどうにもならない!
「おぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ・・・離れろ!!」
「きゃぁぁっっ!!!」
ツインテールの少女は、ボブカット少女から生えている8本腕のうちの1本に弾かれて、床を転がり、手摺りに叩き付けられた!
「じょ・・・冗談じゃねぇ!!目の前で親友が食われる所なんて、見せられっかよ!!!」
怒り?正義感?上手く説明出来ないのだが、俺の全身が灼熱を発し、ボブカット少女に絡み付いていた糸を切断!背に生えていた八本足は、灼かれて消滅をした!
「アミィィッ!!」
ツインテール少女が駆け寄ってきて、救出された友人を抱きしめる。ボブカット少女は、意識を失っているが、憑き物が取れて穏やかな表情を取り戻している。
「大丈夫!寝ているだけだ!!」
「ぅん!!ぅん!!」
彼女自身が弾き飛ばされて痛いだろうに、何度も頷きながら友人を介抱する姿は微笑ましく思えた。
「さぁ・・・観念してもらおうか!」
〈おぉぉぉっっ!〉
壁の影から染み出るようにして、女の上半身が生えた巨大な蜘蛛が出現!妖幻システムが過去データと照合をして、その妖怪の名を報せてくれる!
「絡新婦・・・か。ランク:下級妖怪。パワー:並み。複数の子妖を発生させる。
知ったところで、対処法があるわけじゃないから、力押しになるんだけどな。」
絡新婦が生み出した子(子と言っても人間サイズの巨大蜘蛛)が飛び掛かってきた!
「ハァァァッッ!!」
子妖に向かって踏み込み、先行する1匹目を唐竹斬りにして、続く2匹目を右薙ぎに斬り捨てた!2匹の子妖は唸りを上げて闇に解けるように消える!
「友達と一緒に安全なところに隠れてろ!」
「ぅんっ!」
少女は、友達を抱えて塔屋の中に退避をした。