第4章 ヒロインはお淑やか?
俺は目を開けた。
目に映るのは今日で当分見納めになる見慣れた天井。
身を起こして眠い目を無理やり開けながら窓を開けに行く。この作業をするのも最後になるのかと思うと感慨深くなってくる。
そんなことも考えながら窓を開けた、その瞬間部屋の中に入り込んでくる新鮮な空気。
「気持ちいい、、、、、」
目が覚めていくのを感じながら寝間着から今日から行く{フォールハウト学園}の制服に初めて腕を通しながらもう前世と同じ歳だな、と考え鏡の前に立つ。
意外にも完璧にフィットしていて見ていて惚れ惚れする。
「早くしないと馬車出ちゃうわよ!」
下の階から母親が急かしてくる
ま2時間はあるのに、、、、、
そう心の中で愚痴を吐きながら階段を降りていく
「最後の朝食なんだからお腹いっぱい食べなさい、
大きくなれないわよ?」
「そんな今日死ぬみたいに言わないでよ。いただきます」
悪態をつきながら俺は朝食を食べ終わった。
荷物の最終確認をするために2階に登った俺は荷物の中から懐かしいものを見つけた。
「これ、、、、小さい頃よく遊んだ将棋盤、、、、、」
シールが貼ってあるから間違いない。なぜこれがこんな所にあるのか不思議だったが学園のことを考えているとそんな事は頭の隅へと投げ捨てられた。
最終確認を終えた俺は、玄関を出て家を振り返る。
「今までありがとう」
そう小さな声で呟いてからちょうど来た馬車に乗り学園へと向かう。
ウチは比較的に田舎の方なので学園までは馬車で4時間かかる。
その間に新しい生活に胸を踊らせていると
「ニヤけてるようじゃがやめた方がいいぞ」
左手のワグネス様が話しかけてきた
「そんなに?」
聞き返すと
「そんなにじゃ。気色悪いぞ」
悪かったね気色悪くて
そんな感じに話続けているといつしか4時間経って首都ステラに着いていた
「うわぁあ」
そこでは初めて見るような建物が沢山あり俺は内心興奮していた
高くそびえ立つ壊れることを知らなそうな鉄壁
その壁の中に間を埋めるかのように立ち並ぶ建物たち
絶え間なく行き交う人々
今まで田舎では見たことがなかったような景色に感嘆しながら馬車は進んでいく
学園に着く頃にはすっかり正午になっていた
「ふぅぅぅうやっと着いた」
馬車から降りた俺は自分の寮へと向かう途中
横を通り過ぎて行った人に目が釘付けになってしまった
赤い三つ編みハーフアップの髪が風になびきふわりとラベンダーのようないい匂いを振りまいている
その赤い瞳からは全ての者を許すかのような聖母のような眼差しが放たれている
胸はないが特段太っている訳でも無くキュッとお腹がしまっている
そんな風に見つめていると相手もこちらに気づいて話しかけてきた
「どうしましたか?ずっと私を見ていたようですが」
「いえ、なんでもないです」
「なんでもない?ご冗談を、ずっとみてくる人がなんでもないはずがありません。何か理由でも?」
「いえ、それはあなたがとても綺麗だったから、、、、」
あああうっかり出てしまった
つい口に出してしまうのが俺の悪い癖だ
「まあ、それは嬉しいですわ。でもあまり見るのはやめて下さる?」
「はい!やめておきます」
少し残念だが仕方ない
俺は後ろを振り向こうとした瞬間風に煽られ彼女のスカートがめくれてしまった。
「きゃあああああ」
彼女は悲鳴をあげて回し蹴りを繰り出してきた
一瞬何が起こったのか分からないまま俺は地べたに転がり回る
白だった、、、、
そう思いながら俺の意識は闇へと落ちた、、、、、
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