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10 扉と祭壇


「うおおおりゃあああ! おやあああ! ハアアアア――ッ!」


 イザックがヤケを起こしたみたいに剣を振り回している。

 敵は骸骨の魔物スケルトン。

 あまりにもめちゃくちゃな太刀筋なので、ラウルとセーナも援護しようがない。


「ぜえぜえ、ハアハア……。なんとか倒したぜ」


 汗だくで片膝をつきながら立てた親指をこちらに向けてくるイザック。


「さっすがSランクダンジョンだぜ。魔物が後から後から湧いてきやがる。キリがねえ……」


 それは、どうだろうな。

 お前の声がうるさすぎて、付近一帯の魔物が呼び寄せられているだけだと思うが。

 自分で寄せて自分で斬って悪態をつく。

 誰得のマッチポンプだ?


 いちおう、俺が防音魔法をかけているけど、いかんせん分かれ道が多いからな。

 カバーするのにも限界がある。


「高レベルの魔物と連戦だ。さすがのオレでもキツイな……」


 高レベルの魔物?

 スケルトンが?

 ベルトンヒルじゃ子供でも倒せる魔物と言われているけどな。

 あいつら、ちょっと突き飛ばせばすぐバラバラになるし。

 昔、ミルカもビンタで張り倒していた。

 一発KOだったぞ。


「ラウル、お前も援護しろよ。見ているだけとか卑怯だぞ」


「卑怯なものか。僕の役目は魔法で周囲を照らすことだ」


 ラウルはバカを見る目をイザックに向けた。


「だいたい、同時に2つの魔法を扱うなんて無理に決まっているだろう。そんなことも知らないのか?」


 本気で言ってる?

 うちの妹なんか、同時に3つの暗黒魔法を扱えるぞ。

 俺も5つくらい余裕だ。


 お前たち、本当に三聖人を目指すつもりがあるのか?

 これじゃ駆け出し冒険者じゃないか。

 しょせんは貴族のボンボンか。


「そういや、お前は何してんだ?」


「困るな。君もパーティーに貢献してくれないと」


 睨み合っていた二人がセーナに矛先を移した。

 セーナはというと、どこ吹く風だ。


「私の仕事は傷を癒やすことよ。怪我をしたらいらっしゃい。この私が特別に治してあげるわ」


 最高のパーティーだな。

 魔物のいないダンジョンでも仲間割れで全滅しそうだ。

 死なれても困るし、俺がこっそりサポートしてやるか。

 サポーターだしな。


 しばらく歩くと、石造りの扉が見えてきた。


「らあああァ――ッ!!」


 イザックが体当たりしたが、ビクともしない。


「ここに何かあるわ」


 セーナが扉の脇で中腰になっている。

 そこには、小さな祭壇があった。

 神棚みたいなものだ。


「何か書かれているわね。古代精霊語のようだけど」


「僕の出番だな。僕は鑑定魔法も使えるんだ」


 そして、格闘すること3分。


「この僕にも読めないなんて。きっと神々の時代の暗号に違いない」


 そう言うので覗いてみると、普通に古代精霊語だった。


「――『なんじ、骨を捧げよ』か」


 俺は見たまんまを読み上げた。


「な、なぜ君に読めるんだ……!?」


 ラウルは思い切り機嫌を損ねる。

 図書館でちょっと勉強したからだ。

 1日でマスターしたとか言わないほうがいいよな。

 絶対、もっと不機嫌になるだけだ。


「シーバ、その骨もらっていいか?」


 俺は自分の肩で骨をペロペロしている変な黒猫に手を差し出した。


「きゅい! うぉんうぉんっ!」


 珍しく反発するシーバである。

 犬って骨とか好きそうだしな。

 背嚢からドッグフードを引っ張り出すと、興味がそっちに移った。


 ほら、セーナ。

 今のうちに骨を持っていけ。


「ここに、置けばいいのかしら」


 祭壇に骨を置くと、ズズズ……、と扉が開かれた。

 骨は砂のように崩れ去る。


「きゅぃぃ……」


 ごめんよ、シーバ。

 帰ったら骨付きチキンを買ってやるからな。


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