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第23話:運の悪い男

久々こっち投稿します(´_ゝ`)

でもなんか話がグチャグチャだ!


解散後、俺は予定通り雪ちゃんの家へ向かっていた。

話し合いはレシルがまた操られるかもしれないので各自レシルの行動にに目を光らせておこう、ということでとりあえず決着したのだ。


ケンジョードが堂々とレシルを見ていられる理由が出来て嬉しそうだったのは内緒の話。


「201…ここか」


雪ちゃんの玄関のドアは可愛らしく『yuki』と書かれた表札が下げられていた。


「緊張する…」


チャイムに手を伸ばすがどうも押せない。ちなみに、チャイムが壊れているとかじゃなくて俺のメンタル的な問題ね。


よし、もう一度伸ばしてみよう。


やべ、この程度で手が震えてやがら。俺可愛いな。

……とか言ってる場合じゃなくて!

押せ!押すんだ俺!


――ピンポ~ン


「……………へ?」


「チャイムはこうやって鳴らすんだよ?あなた、お姉ちゃんに用事?」


他の人に押されたー!!!っていうか!


「お姉ちゃん!?」


「はーい!あたし雪姉の妹、楓でーす!」


元気よく答えてくれたのは、雪ちゃんと同じ水色の髪の毛を二つの三つ編みにした女の子だった。


雪ちゃんは儚げな美人、この女の子は美人と言うより元気で可愛いといった感じだ。


「へぇ、雪ちゃんって妹がいたのか!年齢はいくつなんだ?」


「17歳よっ!」


「一つ下だな」


「へぇーじゃあ、あなたは18歳なのね!」


「そうだぞ。お兄ちゃんって呼ぶか?」


「遠慮しとくー!」


初対面にも関わらず盛り上がっていると、ドアがキィ…と開き、中から雪ちゃんが顔を出した。


「あら!楓と翔さん!

二人揃って珍しいわね。どうぞ上がって下さいな。」


そう言って一歩下がる雪ちゃん。ふんわりシャンプーのいい匂いが漂ってきた。風呂上がりか?やべ、ムラムラする。


「ほら翔クン!入った入った!」


楓に背中を押され、俺は雪ちゃんの部屋へ降臨した。入っちゃった入っちゃったゲヘヘ。先生~あそこに変態がいます~!あらあら変態ではありませんよ発情期の男の子です。


「ダメだ~!」


俺は呟いた。

ちなみに何がダメなのか?答えは妄想だけ突っ走って現実がおざなりの俺の脳みそ。あ、脳みそって美味そうだな『みそ』って付いてるとこが。


つか来たのはいいけどアピールって具体的に何すりゃいいんだ?

デートのお誘い?

いや、でも妹の前で誘われる雪ちゃんの気持ちを考えよーぜ俺!




ペロッ


――ん?

今俺口舐められた?

雪ちゃんの家って犬飼ってんのか?


「ふへへ~!

翔クン美味しいっ!」




犬は楓でした。


「ななな何すんだよっ!?」


俺は壁まで一気に後退った。そんな俺に手を怪しげにワキワキさせながら一歩、一歩近付く楓。

雪ちゃん!雪ちゃんどこ!?助けてくれぇ!


「実は一目見た時から気になってたんだ~っ!

赤い髪に赤い目で顔も格好いいんだもん!

あたしの物になろうよっ!」


バシッ!


楓の頭に丸めた雑誌が振り落とされた。


「いったぁい!

何するのお姉ちゃあん!」


「何するのじゃないです!少しは自重しなさい!あなたの悪い癖よ?

翔さんもびっくりしてるじゃないの。」


雪ちゃんは三人分のお茶とお菓子をおぼんに乗せて立っていた。脇にはフワフワと丸めた雑誌が浮かんでいる。ふむ、両手が塞がっているから魔法を使って楓を叩いたんだな。


「ごめんなさい!

楓は惚れっぽくて…」


そう言って雪ちゃんは深々と頭を下げた。


「雪ちゃん!俺は気にしてないから…」


「本当……?」


ぐはっ!雪ちゃんの潤んだ目で上目遣いは破壊力抜群だー!!


「本当だよ!

それより……あー…」


アピール、アピール…っと。


「俺、楓みたいな妹欲しいなって思ってたんだ」


うわ、何言ってんだ俺。この発言、鋭い人なら俺が雪ちゃんと遠回しに結婚したいって言ってる事に気付くだろっ。


……雪ちゃんが気付かない事を祈る!


「ソレってー、翔クンがお姉ちゃんと結婚して楓が翔くんの義理の妹になるって事~?」


妹は犬であり、鋭かった。


「楓!翔さんはそんな意味で言ったんじゃないです!」


雪ちゃんはむうっと頬を膨らました。


「翔さんに失礼でしょ!ねぇ翔さん?」


「や、あのー全然失礼じゃないってゆうか、むしろ本音…(超小声)」


「え…?」


二人の間に不思議な雰囲気が漂う。


「なにこの空気ー?

お姉ちゃんたち、お菓子全部食べちゃうよっ!?」


見ると、楓がいつの間にか、雪ちゃんが運んで来たお菓子をバリバリ食べている。全部食べちゃうよってもう殆ど残ってねえじゃんっ!俺の好きなクッキーもあったのに!


「…じゃあ俺はお茶でも…」


そう言って、おぼんに乗せてあるコップの一つを手に取る。ほんとに俺も大人になったな。

ん?飲もうと傾けたがお茶の雫が落ちて来るだけで飲めない。これなんてゆうイジメ?


「翔さん?どうしたの?

まさか…」


雪ちゃんの目がギギギ…と三角になっていく。うん、まあ出来たら見たくなかったかな。


「楓~っ!!!」


「わーい、お姉ちゃんこっちまでおーいでっ!」


バタバタと姉妹の鬼ごっこが始まった。意外過ぎる。意外過ぎるぞ雪ちゃん!俺のイメージの雪ちゃんはお淑やかなふんわりとした…。


「じゃあ、楓は帰るねっ?ばいばい翔くんっ!」


チュッという軽い音と共に唇に感じる柔らかな感触。


結奈のせいでキスは慣れていたとは言え、不意打ちのキスは照れるな。


バタンとドアを閉める音が聞こえる。そうして嵐のように楓は去って行った。


「あの子また翔さんに迷惑掛けて~っ!」


雪ちゃんの悔しがる声が部屋に響く。そんな雪ちゃんも新鮮でいいけどよ…もごもご。


「あのさ!雪ちゃん腹へってねえ?」


唐突に質問してみた。だってさ、妹いなくなったしデート誘っても問題ないよね?


雪ちゃんはキョトンとした表情で振り返って俺を見る。


「お腹…そう言えばお昼時ね。お腹減ったわ。」


「じゃあ飯でも奢るから食べに行こうぜ?」


雪ちゃんは申し訳なさそうな顔をした。なんかやな予感。


「あ、行きたいのは山々だけどこの後に――…」


バターン!


「雪ぃ~?遊びに来たわよぉ~!」


「――結奈が遊びに来る約束してて。ごめんなさい。」


ゆ、結奈だとぉ~!?


固まった俺は結奈の目に止ってしまった。


「あらぁ~?

あの時はよくも逃げてくれたわねぇ~?」




それは、鬼ごっこ2の始まりだった。

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