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第12話:ストレスからフリーになろう

更新遅れた~。

誤字脱字感想おまちしてます!

俺は朝8時に目が覚めた。それから朝はトーストを食べ、歯を磨き、寝癖を整えて零番隊を象徴する赤いフード付きマントを着込んだ。このマントについて説明しておくが、実は隊ごとにマントの色が違う。

どの色がどの隊でっ…ていうのはまた後々説明する時があればそこでしよう。

これはいわゆる簡単な身分証明だ。マントの左胸に格好いい黒ドラゴンの刺繍が施してあり、その目にはある程度の魔法から守ってくれる紅い石が埋め込まれている。

この石はなかなか手に入らないので、マントのコピーをするのは殆ど不可能だ。凄くね?欲しいだろーが、やらんぞ。



俺は家を飛び出した。

今の時刻は8時30分で9時には余裕がある。

急がなきゃいけない理由はない。俺が今走っているのは気分だ。


「よーっす、洋介」


「はよー、翔。早いんだな?」


「お前もだろ」


建物の下にたどり着いた俺が会ったのは俺と同じマントを着た洋介だった。


そこから雑談しながら集合場所に向かった。璃念川に着くとそこにはもう既に零番隊の半数以上が集まっている。

洋介はすぐさま辺りをキョロキョロと見渡す俺をひやかした。


「お探しの人は雪さんだろ~?」


「そ…」

「私を探してたのよね~?翔くん?」


ヒョイッと洋介の後ろから現われたのは結奈だった。


「!!(出たあ…)」


内心何されるのかと冷や汗ダラダラの俺と、対照的に面白そうな顔をして結奈を見つめる洋介。


「あら、皆さんお揃いなのね」


そこへマントをはためかせ雪ちゃん登場。

男らしいはずの零番隊のマントは何故か雪ちゃんに着られることによって可愛らしく見える。


「雪ちゃ~ん!」


「ふふ、おはよう。翔さん」


俺は結奈が目に入らなかったかのように雪ちゃんに近寄った。

背後から凄まじい何かを感じるけど何だろうね?


それにしても、ドSの結奈と比べて雪ちゃんのおしとやかなこと!

月とスッポン、いや美女と野獣だな。(性格的な意味で)


「翔くぅ~ん?」


あっやべ。結奈って心が読めるという非常識な能力があったっけ。


俺は冷や汗が頬を伝うのが分かった。

とりあえずこの状況どげんかせんといかん!


「あ!翔、ダン隊長が来たみたいだぜ」


そこへ俺が焦っていると知らず、呑気な洋介の一言。


「本当ね。ひとまず話をやめましょうか」


同意する雪ちゃんに、


「残念だけど話は後ねぇ~」


少し残念そうな顔をした結奈も頷いた。


ふぃーっ。


俺は皆が到着したてのダンのオッサンの方を向いたのを確認して深く溜め息を吐いた。


全く、朝からこんなに疲れていいのだろうか、いや、いいはずがない。


俺は何となく反語を使いながらも皆と同じ様にダンのオッサンを見た。




「………は?」


目が点。

ダンのオッサンの横にはツンとすました表情の金髪美少女がいた。


「何でいんの?」


俺が小さく呟いたのが聞こえたのか、洋介が心配そうに振り返って俺を見る。俺は無言で洋介を見返した。


そんな無言のやり取りの中、ダンのオッサンが両手を広げ皆を見回しながら間抜けな声を出した。


「さあーて!紹介しよう。俺がしばらくの間預かる事になったレシルだ。零番隊に入隊する訳ではないが、社会勉強と言う訳で零番隊につかせる。この娘をよろしくな」



――誰も何も言わなかったが、別に反対する者はいないようだ。


俺はどうしていいか分からなくてただ固まっていた。


オッサンは一体何のつもりなのか。


そんな思いだけが頭をグルグルとまわった。


昨日は少しだけレシルとかいう女を信じても良いかなとは思ったが、それだけだ。

思っただけで信じてる訳じゃない。

あの女は演技をしている可能性もある。


つまり、俺が何を言いたいかというと、俺は今もレシルは自分の意志で俺の両親を殺したと思っているし、そんな俺とレシルを近付けさせるオッサンがまるっきり理解できないということ。


だって、普通そう思うよな?

操られてたって証拠でも見つけた後ならまだ分かるけど、これっぽっちもそんなもんないんだぜ?

相変わらずオッサンはイカれてる。


――俺の中でそう結論付けてオッサンとレシルを睨んだ。


金髪美少女と一瞬目が合ったような気がしたが、今は何事もなかったかのようにそっぽを向いているので気のせいだろう。

オッサンは頭をボリボリと掻きながら続けた。


「話は変わるが、今回は3、3、4人に別れて任務をしてもらいたい。メンバーは昨日俺が決めておいた。任務の内容は後でそれぞれに伝える。

では発表するぞー」


そわそわと目を見交わす零番隊の面々。新しく入ったメンバーは零番隊初めての任務になるため緊張した面持ちである。(結奈だけは例外で1度俺と任務をしているので平気そうだ)


「えー、ゴホン。まずAチームには翔、ケンジョード、ロイレンだ。このチームは翔以外は皆新人だな?と言う訳で翔、お前がいろいろ先輩として指導してやってほしい」


その言葉に俺は分かったと小さく頷くと、Aチームのメンバーであるケンジョードとロイレンを見た。


ケンジョードの方は黒目黒髪の真面目そうな青年。年齢は20から23ってところか。


ロイレンはというとパッと見、金髪のかわいい感じの童顔少年。背は150センチ位でちっさいから例え20歳いってたとしても10代に見える。


2人は俺と目が合うとケンジョードは深くお辞儀、ロイレンはにっこりと笑って軽く頭を下げた。




――あーぁ、雪ちゃんはいねえのか。


俺は軽く溜め息を吐いて、他のチームの組分けを見た。


Bチームには結奈と元からいた零番隊のメンバー2人。


Cチームには洋介、雪ちゃん、親睦会で仲良くなったちょいワル兄ちゃんこと永谷亮太、そして前から零番隊にいた影の薄い青年だった。


Cチームが良かったなあと見ていると、洋介が雪ちゃんをこそっと指差し舌をべっと出した。


あの野郎、俺が雪ちゃんと一緒のチームになれなかった不幸を喜んでんのか?

よし、今度会ったら死んでもらおうか。


怒りを抑えつつBチームの結奈を見ると、同じチームの男2人に言い寄られている状態だった。結奈も結奈で色気を振りまいているんだからしょうがない。


「水無月 翔」


俺が観察をしていると隣から凛とした声がした。


その声の持ち主は金髪美少女、レシルだった。


「……」


俺が黙ってレシルを見ると、彼女は紙切れを差し出す。


「それ、任務の内容だから」


レシルはそれだけ言うと踵を返しBチームの方へ向かって行った。


「何と書いてあるので御座るか?」


今時、どこに行っても耳にしない言葉遣い。

ケンジョードが俺の持っている紙切れを覗き込もうとしていた。


コイツ、いつの時代からタイムスリップして来たんだ?それに俺の見る限りお前の武器は杖じゃん。剣じゃないし。


「僕たちの任務はお偉い人の護衛みたいだよ~!」


こらこら、ロイレン。勝手に人が持ってる紙を取るな。

つか高い声だな。まるで声変わり前の少年じゃねえか。


「お偉い人…で御座るか。フム、我が力量では至極簡単な任務で御座るな」


フウ、と溜め息を吐くケンジョード。お前何様だ。


「ケンジョード、お前キャラ濃過ぎ。つーかギャップあり過ぎ。そしてロイレンは幼な過ぎ」


黙ってようと思ったが黙っていられなかった。

早くもストレスが溜まりそうだ。俺こんなメンバーで護衛とかやってられるのか?


「ぎゃっぷ…とはなんぞや?」


「僕幼い?やったあ!」


……ダメだ。通じてねえし、褒めてもねえし。


「もういーよ………あれ?!」


気付けば辺りには既にBチームとCチームの気配がない。


「Aチーム!何やってんだ!早く行け!」


ダンのオッサンの怒号が飛んで来る。


俺たちは慌てて璃念川を出発した。

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