第11話:まさかの?
更新いろいろあって
おくれちゃいました。
さて、買い物も終わったし随分かかっちまったがプー太郎を迎えにでも行くかね。
「オッサンの部屋…502っと」
――ピンポ~ン
場所はとんで今は零番隊の建物。俺たちの住居に戻って来ました~。
「……」
誰も出ないな。よし入ろう。
ガチャ。
「うわ!くっさ!」
まさにゴミ溜め。部屋のあちこちにゴミ山が出来上がり、異臭を放っている。実はオッサンは部屋を片付けれないということで零番隊ではかなり有名だった。
「ミャ~ン」
ひときわでっかいゴミ山の陰から出て来たのは我が愛猫、プー太郎。
その頭にはバナナの皮をうまい具合にかぶり、新しいファッションか?と聞きたくなる。
「プー太郎!そんなもんかぶっちゃってよ~!」
俺はプー太郎のカツラもどきを払いのけた。
「お前1人なのか?ダンのオッサンはどこなんだ?」
「ニャン」
「そっかそっか。なら帰るか」
実際プー太郎の言ってる事はよく分からないが、可愛さに負けて意味が分かったフリをする俺。
――ガチャッ
俺がプー太郎を抱え上げ、帰ろうとしたところで玄関のドアが開いた音がした。
「なんだ、翔じゃねえか」
玄関には沢山の野菜が入った袋を抱えたダンのオッサンが立っていた。
「オッサン、ここちゃんと片付けろよな~。俺のプー太郎がゴミかぶってたんだけど」
「はっはっは!すまんすまん」
「ったく!すまんじゃねーよ。まあいいや。俺は帰るから。プー太郎サンキューな」
そう言ってオッサンの顔を見た俺は違和感に気付いた。今のオッサンはどこかそわそわとしていて、目も泳いでいる。
「…どうかしたのか?」
俺が不信感一杯に尋ねると、オッサンはアーとかウーとか唸った挙句決心したように口を開いた。
「実はな……おーい、入ってこい。きっと大丈夫だ」
最後の言葉は玄関の外にいる何かにかけられたものだった。
「なん…」
何なんだと言いかけて、やめた。玄関に入ってくる人物を見たからだ。
急に黙りこくった俺に構わずオッサンは言った。
「きっと洋介から聞いてるとは思うが、レシルはこの俺ん家で預かることになった」
「……」
いや、確かに零番隊の建物で預かるとは聞いていたが。
まさかオッサンの家だとは!
「アンタ、……何か言いなさいよ。」
金髪蒼眼美少女レシルが偉そうに言い放った。
まあ、そうだね。
何か言わないと雰囲気悪いし。
「…俺はまだお前を信用した訳じゃない。操られて俺の両親を殺したっていう証拠がねえしな」
シーン…。
ハイ、一同沈黙~。
余計に雰囲気悪くしちまった。あらら。
「……分かってるわよ。あたしは信用に足らない人間だってことくらい」
レシルは俯いた。アレ?何か泣きそうじゃね?
つーかオッサン。後ろでウロウロすんのやめろ。
「……」
とうとう重い雰囲気にたえかねて俺は俯いた。
「……」
レシルも俯いている。
チッチッチッチッチッチッチッチッ
その場で音を立てるのは時計だけになってしまった。
「…………俺帰る」
このまま時が過ぎるのは惜しい。俺は帰って寝ることにした。
「「えっ」」
「ハモるな」
俺の声に反応して顔を上げたレシルと、いきなりの発言に驚いている様子のオッサンの声が見事にハモった。
「そうか、帰るのか。それならば明日の零番隊の活動の連絡をしておく」
急に事務的な態度になるオッサン。明日は9時に璃念川に集合。それからそれぞれ何人かで組んでそれぞれの任務らしい。
ハァ、また任務か。結奈と当たらなければいいが。
オッサンの家を出る寸前、チラッと見たレシルの顔は泣きそうに歪んでいた。……少し、信用してもいいかなと思えた。