ソロム攻防戦(5)
土曜日、日曜日には、9時・19時に投稿します。
よろしくお願いします。
3mの巨体を駆動させ、実際には20センチメートル程度の玉に延々と魔石を捻じりこむという、非常に繊細な作業~というよりチマチマとした作業をしている僕。
数十メートル先には、迷宮最深層クラスの牛鬼が、狂暴化して群れている状況。
魔獣群は「整然としている」というよりは、「地上に向かって進みたい。前方が魔獣で詰まっている。同志打ちまではしない。」という体で、【魔獣暴走】故に、この階層にも戦意が溢れている状況。
地上からの情報だと、どうも下位の魔獣だと、同志打ちもしている様子らしいです。
【天鵞絨の多重結界】により、地上への出口を強引に遮断することで、魔獣の同志打ちを誘発し、個体数を減らしていく~その宝具が、宝具たる所以でしょう。
そんなことを考えていると。
東雲の霧。
そして、前方から、瞬時に炎が沸き立ちました。
粉塵爆発。
階層のどこかで、魔獣同志の小競り合いが発生し、「火」を発した個体がいたのでしょう。
粉塵の霧に引火し、それが一気に延焼。
規模は階層の広い範囲と思われますが、爆発音や爆風は一瞬のみ。
僕は一歩前にでて、大気制御のため、風の魔術を起動。
とにかく、セーフティエリアに有害粉塵と一酸化炭素の混じった汚染された空気の流入を防ぐ必要がある!
何体かの赤褐牛鬼が意識を取り戻し、こちらを向く。
敵愾心。
魔獣も巨体だが、質量とも【翡翠の大鎧】のほうが上!
後ろは後ろで任すしかない。
『ごををををををををををををををををををををををををををををををを!?』
咆哮を轟かせる牛鬼の顔面に、【翡翠の大鎧】の右拳をぶち込む!めしり!拳を喰らった牛鬼がその場で崩れ落ちる。
もともと、大量の有毒粉塵を吸い込み、呼吸も難しく、炎に焙られている牛鬼達。
「いったろ! 握力は人並みだけど、腕力は相当だってな!!」