表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/348

【オールラウンダー】アーチボルト・グレイン(2)

 内密の話であるし、そもそもユーリも多忙を極めているので、協会長室には俺とリードの二人きりだ。リードは名残おしい表情をしている。ちょっとは隠せよ、このバカ弟子が。


「さて、リーよ。駆け引きなんかしてもしょうがないんで、二つ頼みを聞いてほしい。

 一つは、【王家】の宝具の操作者、操縦者を探している。多分、伯爵家や騎士団からは云う気がないだろうから俺が云うが、お前にその役をやってほしい。

 もう一つは、お前がため込んでいる魔石を分けてほしい。」


 リードが不思議そうな表情を浮かべた。まあ、確かに不思議だよな。事情を聞かせてほしいというところだろう。


「【王家】の宝具の話は聞いたか?」


「いや、全然。」


「まあ、ダルトームは、ちょっと融通の利かない一族だからな。まだ、子どものお前に、命の駆け引きのような事はさせたくないんだろう。」


 俺は、まだ冷めていない緑茶を口にした。


「【ソロムの迷宮】への攻略にあたっては、ダルトーム騎士団による重騎士団を突入させる。宝具を使うから魔石はバカ食いするが、騎士一人で巨人と差しでやりあえる兵装を、部隊単位で運用させるわけだから、【魔獣】の群れを一時的に崩壊させることは可能だろう。


 だが、【魔獣暴走】による魔獣の数は想像がつかない。となれば、ローテーションを組んで、長期間にわたって戦線を維持していく必要がある。その戦線が崩壊した場合、【南の国】全体へ大きな被害を及ぼすことになるからだ。


 そのため、【ダルトーム】は、できる限り、20階層からの戦線を維持させるため、高位の魔石と騎士団による攻略体制、探索者による支援体制を、現在、構築中だ。その作業はお前も【ダルトーム】で手伝っているんだろう?」


 リードは、こくりと頷いた。


「そこで、【王家】の宝具だ。

 まずは、【東雲の霧玉】。粉状の霧を生み出し、それを吸引した者を弱体化させる。その範囲は絶大で【迷宮】においても、階層全体に効果を表すことが可能だそうな。使用する魔石は赤系統以上。実際は霧ではなく、毒性の粉塵を大量に噴出させる宝具で、使用する者が毒を吸い込むリスクがある。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ