(伯爵)ノーマン・フォン・ダルトーム(6)
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次のとおり、各伯爵家に対し、王令を持って命じる。
南歴310年【九ノ月】
テリウス・サーラ
令
現在、ソロム侯爵領【ソロムの迷宮】において、【魔獣暴走】が発生している。サーラに対する侵略行為これに類する事案を見なし、古来の習わしにより、王家及び各伯爵家は、【魔獣暴走】による魔獣を駆逐すべく、各騎士団を派遣し、【魔獣暴走】を制圧すること。
ソロム侯爵家、サリウム伯爵家、ロジウム伯爵家は、騎士団全員を持って、都市ソロムにおいて魔獣への楯となり、魔獣による都市への浸透の一斉を防御すること。なお、その騎士団全てに対し、王の楯であるサーラ騎士団の全面展開による支援を講じることとする。
ワートリム伯爵家、ラルシウム伯爵家は、他国の動向を注視し、我が国への侵攻の兆しが見られた場合、全力を持って、これを阻止すること。また、両伯爵家には物資の補給ルートの確保と物資運搬の役割を任ずることとする。
ダルトーム伯爵家は、王の矛たるダルトーム騎士団を持って、【サーラの大迷宮】より【ソロムの迷宮】に対し攻撃を行い、その魔獣の群れを側面から駆逐すること。
なお、本事案の重大性に鑑み、王の楯と王の矛には、当家の宝具の使用を許可する。
また、宝具の稼働に擁する魔石は、ソロム侯爵家が用意するべきであるが、その量も限られていることから、王の楯と王の矛がそれぞれ一時的に賄うこととし、ソロム侯爵家による補填は五割増を持って行うこと。
本令にかかる各伯爵家の負担や、各伯爵家の損害に対する補償については、その一切をソロム侯爵家が行うこと。また、改めて本事象の重大性に鑑み、ソロム侯爵家による保証は、古来の習わしによる近年に行われた保証よりも三割増を持って行うこと。
ソロム侯爵家による補填や保証が滞る場合は、王家がそれを補填すること。補填や保証の手段については、ソロム侯爵家と各伯爵家の折衝を持って詳細を決めるものとするが、前提としては、二十年間に期間を持って継続的に実施すること。なお、単に貨幣の増発を持って対応する等不誠実な行動があった場合は、王の矛による掣肘を認めるものである。
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