転移魔法陣の先(2)
まずいものを見つけたようです。しかし、ドキドキが止まらない。
僕は、アーチボルト先生をだまくらかして、ワーランドの小迷宮の最奥に連れてきました。
決して、日頃から態度の悪いアーチボルト先生を完全犯罪の上消滅させようと企んでいる訳ではありません。繰り返しますが(略)。
あ、髭面のおっさんに、ジトッと見つめられてしまいました。
2階層の通路の突き当りの部屋の、その最奥部について、何故か床にこびり付いていた黄晄苔を剥がすと、そこには魔法陣が彫り込まれていました。
普通に考えると、他の迷宮につながっているのだろうなあと。
しかし、苔の付き方が少し異常でした。
僕も、地属性適正が生えていないと、また、地属性で探索なんてかけていないと、決して見つけることはありませんでした。いや、地属性の魔術が使えるようになった以上、このワーランドの小迷宮(命名:リード・ワーランド)の隅から隅まで調べるのは当然のことなので、この結果は必然なのですが。
「この魔法陣は生きているな。ほら、ここにルーン単体ではなく呪文が刻まれている。こちらの魔素をあちらに集める……のが主な目的のようだが、クソガキがここで魔獣を撲滅しまくっているから、この魔法陣が反応しているのだろうな。」
撲滅だなんて、失敬な。
「ええと、機能検索はっと。ふむ、全く問題はないな。リー、ちょっとこっちこい。」
魔法陣の中央の円の中にアーチボルト先生と立ってみた。先生に、呪文の位置に魔力を注ぐよう言われたので、そのとおりにしてみると…
あっという間に光景が変わった。迷宮の中ではあるけれど、壁の位置とかもそうだし、そもそも雰囲気が全く違う。
「リー、もう一遍、魔力を注いでみ?」
あらら、あっという間に、もとの場所に戻った。
行ったり来たり、行ったり来たり、行ったり来たり……これを何回か繰り返してみて、
「どうだ?非常にシンプルな転移魔法陣ってことは分かったか。」
「シンプルってことは、特に他の機能はないということですか?」
「そう、シンプルが故に、トラップとか誤動作とか事故とかが起きえないということ。まあ、安定性のある機構かどうか、きちんと見極められるようになるのが重要ってことだ。いった先は、おそらくどこかの大迷宮の隠しセクションだ。」
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