転移魔法陣の先(1)
正直、こちらの世界に「戻ってきて」、今はとても楽しいです。
もう、家庭教師のお姉さんがとっても美人です。
金髪ボ〇ンなんて、一体何のご褒美なのでしょうか。
しかも、【一ノ月】から、午前中の3時間、ずっと、自分の疑問に答えてくれるのです。
おかしいです。こんな出会い系サイトの仕組みなんて、日本には存在しませんでした。
ちなみに、マノン・ベルナールというのが、家庭教師の先生の名前。
実家は騎士爵家で、領都での公務に携わっているそうな。
一方で、そんなにモチベーションが湧かないのは、週に1回の魔術の先生。
冒険者あがりなのでしょうけれど、「仕事したくないオーラ」全開です。
「よくわかんねーよ」
「無理無理、お前にそんなこと、できっこないね」
というのが、このおっさんの口癖。
僕は別にMの気とかデレ系の気とかは持ち合わせていないので、こういった取り扱いをされても面白くないのです。
とはいえ、モチベーションが湧かないのはコミュニケーションの事であって、魔術のことは話が別。疑いようがなく僕より高位者である先生の知識や技術を、どうやって盗み出していくかが今後のポイントになるでしょう。
「うーん、リー君よう。お前、何か変わったことをしたか?」
「いつも、風魔法で塵を纏めて固める練習をしていますけど。掃除に便利ですから。」
「へえ、そのせいか。何か地属性が生えているぞ。」
無精ひげを生やした探索者くずれのおっさん、アーチボルト。
領主家とはいえ、別にすごい金持ちではないことを僕も結構理解しました。そこの次男の魔術の先生ですから、いわば貴族の家庭教師としては「中の下」なんでしょうけれど……。
実は四大属性を全て行使できる【オールラウンダー】アーチボルト。相当の実績を挙げて引退した超一流探索者なのです。ちなみに家庭教師としては(略)。
「あ、二つ名で呼ぶんじゃねえ、このクソガキ。」
「クソガキで結構ですから、属性が生えたことを教えてください。先生。」
「ったくリズムが崩れるよなあ、お前と話してると。使える系統を何となく観ていたら、地属性の気が生えてたんだよ。魔力量から見たら、相変わらず初級クラスの魔術しか行使できないが、いろいろな属性が使えたら便利なことも多いからな。」
貴族的には高等クラスの魔術を扱えることが大きなステータスになる。そんなことができるのは極めて限られているけれど。でも、実践の場では初級・中級レベルの魔術を正しい判断で適切に行使できるかがポイントになることを、アーチボルト先生は僕に教えてくれています。
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