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(子爵)エミリ・ファン・ダルトーム(1)

「秋の交遊会」、特に貴族家の当主達が集うパーティーは長時間にわたるため、各自、適度に休憩を取りながら、会が進んでいく。


 私も、やや気分が優れないということで、少し休憩をもらうことにした。あのドタバタ劇をみていた周囲の人達は、「大変だったでしょう。しばらく休まれていいと思います。」といった体で、私を送り出してくれた。


 普段であれば、休憩の間でもお話をしたいと希望する人もいるくらいで、伯爵たる父も、その嫡子である私も、タイミングを見計らいながら休みを取る感じである。

従士扱いであるリード君にも、付いてきてもらっている。


「リード君、ごめんね……」


「姫様?」


 リード君の表情は、本当にキョトンとしたものだった。


「ええと、姫様。もう少し慎重な立ち回りができたら良かったのですが。少し騒ぎになってしまって、本当に申し訳ありません。なぜ、姫様がそうおっしゃるのか僕にはわからないのですが・・・」


 ◇◇◇


 ダルトーム伯爵たる父ノーマンも、その娘である私も、【オールラウンダーの弟子】であるリード君を好ましく思っている。【迷宮】の【魔獣暴走】を抑え、【迷宮】の資源を富として領を栄えさせることこそが、ダルトーム家の家訓であるわけだから。


 魔力は貴族としては平凡、まだ王立学園に入学したての少年……。

 しかし、平易な魔術と高度な武装を巧みに組み合わせて操る、【ダルトーム】のみならず【南の大迷宮】においても名を馳せる一流の探索者。


 でも、リード君は、領地経営の面においても、文官として、その才能を示している。

 現時点においても、領地の会計や財務については、正直、私よりもリード君のほうがよく理解しているし、文官として適正な判断ができるだろう。


 そのため、父も私もリード君は伯爵家に留めておくべき人材と思いをさらに強めていた。

 以前から、王立学園においても、リード君と家門の貴族家の子息との面識を深めるよう、私達は配慮してきたし、それらに加えて、今回からは「秋の交遊会」をはじめとした社交の場に少しでも慣れてもらおうと考えていたのだ。

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