表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/348

【ワーランドの小迷宮】(3)

 3か月間、ワーランド家の小規模迷宮に日帰りで修業している僕。

 おそらく、家の者には、迷宮付近の平地で魔術の練習をしているのだと思われ。

 確かに、魔術の技術もある程度高くなってきており、何となく魔術師っぽく見えてきているのかなあと思っています。魔術師っぽいってのは中二的な個人的希望ですけど。

 でも、家人に対して、少なくとも、「自分は、ここ3か月でこんなに強くなっているよ!」なんて自己主張するつもりはありません。

 今のポジションはやる気のない大人しい領主家の次男。

 これは何としてもキープしておいた方が良いと、スローライフ志向の僕の本音が囁いております。


 この迷宮は2階層に分かれています。

 配置もシンプルで、真ん中に通路があり、左右に10区画ごとの部屋があります。

 まあ、部屋といっても、一つの部屋が小さなホールくらいの大きさなのだけどね。

 壁面は、黄晄苔といって魔素を仄かな灯りに転換する素材に覆われており、トーチなどは不要です。取っても、取っても、すぐ生えてきます。持ち出すとただの雑草ですが。

 そもそも、管理不要の小規模迷宮ですから、入ったとしても、いのちのリスクは小さいです。

 まあ、ネズミとはいえ魔獣な訳で、噛まれたところが化膿したら、それはオオゴトなのですが、基本的には人を見ると逃げるのが、ベースとなる行動パターンといえます。

 スライムは……、ほっとけば何もしないですね。


 つまり、この迷宮で強くなるためには、小賢しく逃げ回るネズミを退治しなければなりません。

 しかも、メインの成分補給は迷宮の魔素。

 年に1回の迷宮の大掃除。騎士団の皆さんもそんなに楽しそうではありません。


 僕の今の修業といえば、一部屋ごと粉塵爆発を起こして、隠れている魔獣をネコソギ退治するというもの。それを20部屋×2階層繰り返して、気流操作の熟達と粉塵量の精査をしているのです。

 できれば、感覚で、爆発を引き起こす粉塵量を把握したい。

 やっぱり、温度とか湿度にも影響されるのだと思うので、経験を積まなければ。


 正直なところ、今の技量であれば、どこかで手に入るであろう毒薬とか、どこかで生成した毒ガスとかを気流操作で流したほうが早いかもと思わないでもないけれど、実際には相当の毒性か量が必要で、そんなの取り扱うなんて、やっぱり危ないし。

 多くの人が思いつく一酸化炭素なんて、うっかり自分で吸ったら一巻の終わりだとも思うのです。


 でも、薄々は感じていました。

 この迷宮の魔獣って、爆発そのものより、爆発後の酸素量の少なさで窒息死しているのかなあと。 まあ、魔獣って死んだら魔石を残して消えてしまうのですけれど。


 呪文も、

「我は風を操る者にて」「炎よ」の2つで、大体、事足りています。でも、満足です。


よろしければポイント評価☆☆☆☆☆とブックマークしてもらえると嬉しいです!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ