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(財務官僚)マーサス・ムラク(4)

 南歴310年【九ノ月】

 今月は、「秋の交遊会」がある月だ。

 ダルトーム派内の各子爵領・男爵領との折衝も佳境に入る。


 特に土地持ちの子爵家の場合、取り扱う事業額の規模も大きく、相当、気を遣う必要がある。本当に気を遣うのだ。本当に。


 私の部署では、例年、「交遊会」の前に、景気づけのため、部下たちと共に呑みに行くのが通例だ。たとえ仕事が終わっていなくても、たとえ仕事のキリが悪くても、自分の心に、再度、火を入れるために!


 ちなみに、他の部署でも同様の問題行動を起こすのが常である。

 呑まなきゃやってられないよな!


 今年は違う。いや、仕事が終わっているとは云わないが、仕事のキリはついた。


 事業の決算に向けた調整や折衝は私たちが、その内容の精査はリード君が、それぞれ役割を担い、各領の財務状況や事業状況の精査を進め、それを御屋形様をはじめボードメンバーたちにきちんと伝えるところまで出来た。

 御屋形様の微妙な表情が気になったが、気にしないことにした。


 あとは、交遊会に合わせて各領との折衝や調整について、私たちの部署も付き従うことになるが、兎に角、珍しく(というか初めて)一段落付いたところでの決起会である。


 タリス、モルド、ライカン、ピート、ウェリスと、常駐してくれたリード君と一緒に昼間から店に繰り出すことにした。リード君はほんの少し遅れるとのこと。


 いや、実際のところ、夜から朝までだと、明日からの日中の仕事に差し障るんだよ、実際のところ。

 なので、昼から繰り出すのが通例だし、領都城下の飲食店も、そのことをよく知っているので、日中からお酒を出すところが多い。


 今回は、感謝を込めて、リード君にみんなで同行をお願いした。

 何せ彼はまだ12歳なので、酒にはさほど興味がない。普通はこんなおっさんたちと同行しないとも思う。


 でも、おっさんたちは徹夜が続いていた状況。その鬼気迫る表情から、断りづらかったのかも知れない。

 いや、ピートとウェリスは若くて独身の吏員であるが、女っ気がないんだよな。誰か紹介してあげないとな。まあ、ダルトーム伯爵家の家臣だから、引く手あまたではあるから、心配の必要はないか。


「よーし、それじゃ呑みにいくぞー!」「「「おおおー!!!」」」


「リード、先に行っとくからな、すぐ来いよー!」


 ウェリスの声に対し、リード君は苦笑いしながら、手を振っていた。

 くるよね?


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