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ウェデル・ワーランド(2)

 ダルトーム伯爵主催のパーティーの招待状が届いた。


 この「秋の交遊会」を通じて、ダルトーム派の中での様々な調整が行われる。

当然、ワーランド家の当主として父も家人を引き連れて、ダルトーム家や周辺の子爵家との調整を行うことになる。その当家の実務は、官吏としての当家の家人が中心となって実施する。


 今回はパーティーの中で、何とかダルトーム伯爵とエミリ嬢に対して強い印象を与えたい。

 当家が王都において、様々な貴族家とのネットワークを日々築いていることは、常々、ダルトーム伯爵家に伝えているところである。


 いかにダルトーム伯爵家が武門の家風を持つとしても、やはり、いわゆる外交機能は重要であろう。その点、俺は王都の法衣貴族と面識を持つ機会を持ち始めている。長い目で見れば、ダルトーム派にとって有効な事は官吏の連中には伝わっていることだろう。


 ワーランド家は、ダルトーム派の筆頭子爵家とは言い難いものの、ダルトーム伯爵とエーデ父上は結構深い面識を持っている。近年、ワーランド家の財政状況はやや芳しくない状況にあるが、これは王都でのネットワーク構築のため、費用を先行投資しているからだ。


 父エーデに加えて、我が弟パールと、母も王都に到着している。

 毎年の事ではあるが、ダルトーム派の貴族として、この社交の場において、しっかり「顔を売っておく」のは重要であろうし、俺の場合は、それに加えて王都でのネットワークを積極的にアピールしていく場となる。


「ウェデル。王立学園を卒業して、この2年あまりで、多くの知人を得た事はモランツ家の者からも聞いたわ。さすがね、ウェデル。剣ばかり振るうのが能じゃないの。これからは王都においてどういう人脈を築いているかが重要なの。

 御屋形様を通じて、しっかり伯爵閣下にも、そのことを伝えるようにしているし、それが派閥内での他の子爵家子息にはない「強み」よ。そのことを、伯爵閣下やエミリ嬢に少しでも伝わるだけで、あなたの価値が輝くのよ。」


「他の人が持っていないものを兄様はもっているの?兄様は、とってもすごいの?」


「そうよ、パール。貴族として軽々しい発言は社交の場では控えるべきだけど、あなたの兄は他の猪武者の家系とは違って、貴き華やかな場で活躍できる素養を身に付けているの。兄に見習って、あなたも頑張るのよ。」


「はい、母上!」


 俺の背中を見ながら、パールも優秀な貴族に育ってもらわないとな。ふふふ。


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