ダルトーム騎士団(11)
俺がそういうと、ウォード団長もテザリオ副団長も、少し頷いていました。
「我々が戦闘マニアかどうかは置いておくとしても、リード君が迷宮愛好者であることには同意するよ。
さて、つまり団長。いけ好かない貴族の一員だと思っていたベント卿が、実はダルトームに理解のある御仁であり、その事を御屋形様やエミリ姫様も承知されていて、「他の中央派の貴人と比べると」ベント卿を好ましく思っていると。
そして、ダルトーム辺境伯爵家の係累となる以上、【南の国】の政務に関して、宰相となるかはどもかくとして、今の中央派と辺境派の力関係をみると、【南の国】の重職に就くことになるのは、双方の勢力にとって望ましい状況である、そんな感じでしょうか。」
「全く持ってテザリオの認識で正しいよ。俺もそう思うし。少なくとも、都市間移動にすら【迷宮】に潜ったことのない連中がエミリ姫様の夫になるとか、場合によっては、俺達の直接の上席になるなんて、あまり考えたくないからな。」
……次期ダルトーム辺境伯爵の夫という席は、貴人の方々にとって、相当魅力的な席とも云えます。実際のところ、【王都】に居る王族、公族の方々も、相当、社交界の表側裏側問わず、様々な工作活動をしていたに違いありません。
俺自身、この貴族的な感覚は抜きにしても、エミリ姫様には気の合う人と付き合ってほしいと思っていました。だから、中央派貴族というのはいかがなものかと思っているし、それはダルトーム騎士団の共通した認識だと思います。