ダルトーム騎士団(9)
皆さん、いつもありがとうございます。
第17章の与太話は、来週の日曜日まで続ける予定です。
こういう雰囲気の話って自分的に大好きで、ついついいらないことまで書いている感じです。
引き続き、よろしくお願いします。
そう考えると、もともとサリウム伯爵家の方というのは、そうおかしくないと思います。ただ、御屋形様の眼から見て、貴人の中ではベント卿を好ましく感じるところは同感できるのです。」
テザリオ副団長のいう「御屋形様がベント卿を好ましく思う」という件には、どうでも良い事情があります。
テザリオ副団長は、先般の【ソロムの魔獣暴走】時にその功績から叙爵された、現ダルトーム騎士団のナンバー2で、幹部の皆さんが嫌がる【王都】の治安維持や、各騎士団との調整、そこから派生する貴人の皆様方との調整をしている、誰もが認めるダルトーム騎士団随一の切れ者です。
【王都】での調整、特に中央派の貴人との調整には相当難儀していたところですが、そこに中央派の中でも相当の規模を誇る【サリウム】の人脈を駆使できるベント卿が、御屋形様達の要請を元に、テザリオ副団長の支援を引き受けたという経緯があります。
そして、何より、ベント卿は【リード邑】の実質上の管理と、【リード邑】への入邑調整を担っていました。ダルトーム騎士団と王立魔術研究所の面々が、この入邑の枠に向かって殺到して「いる」ことは周知の通りですし、その中に御屋形様やエミリ姫様が交っていることも、まあ、ダルトームらしいなあと思う訳です。
ベント卿は、入邑調整の特権を駆使して、いや、表向きは苛烈化したサリウム派閥内の内紛から身を隠すため、【南の大迷宮】管理庁舎と【リード邑】を行き来する日々を過ごしていました。
「エミリ姫様の婚姻相手を考える際、現在の勢力関係でいくと、やはり中央派との融和のため、中央派の貴人の中から選ばざるを得ないことになるのかなとは思っていました。」