新学期パーティー【ロジウム】(2)
【王立学園】という場は、貴族社会の特殊な駆け引きの舞台となっています。
そこには、同年代の子弟がおり、【王立学園】という一種の治外法権の中で人間関係を培うというという特殊な事情があります。つまり、本来、あまり関わることのない他領や、地位や身分の異なる人々と、ある意味、強固な人間関係を結ぶ機会が、【王立学園】にはあるのです。
学生が【王立学園】に在籍する期間は4年間。そして、ここで貴族の子弟達(一部、平民も含まれます)は、4年間の高等教育を受けることになります。
この【王立学園】において、できるだけ長期間、子弟の父兄として【学園】に関わっていくためには、貴族家は常に子どもを【学園】に送り込んでいく必要があります。多くの貴族は一夫多妻制を導入し、子どもの頃から、貴族社会のつながりを形成していくのです。
ちなみに、みんながそれだけのつながり(ネットワーク)を形成しているなら、今更、つながりなどを作らなくても、世の中、十二分に回っていくのではないかと個人的に思っています。
貴族が勢力を維持するという目的のため、他貴族とのつながり(ネットワーク)を確保していくという手段を用いているはずなのに、今は、慣例であるとか面目であるとか面子であるとか謎ルールであるとか足の引っ張り合いの機会の確保であるとか、そういう目的で、貴族社会の社交は行われている気がします。
「相変わらず面白いですね、リード卿の考え方は。」
ベント卿がそんな俺を嘲笑っています。俺にも、ベント卿のこの笑顔と、本心では俺の考え方にものすごく共感している感情が全く連動していないことが分かるようになりました。
「いい性格していますよね。本当に……」
ベント卿は高次の【魔眼】持ちではありますが、決して、読心術が使えるわけではありません。ですが、どうにも俺の思考はしっかり読めるようになった様子で、小声で俺に突っ込みをいれてきた様子です……