ジャン・クローズ(8)
「何と、生徒会とは……。ところで、パール、お前の感想は?」
「何分、立ち話でしたし。……正直なところ、声をかけてもらう心当たりがありません。年間の成績評価も、中の上程度……でしたから、生徒会への引き抜きといった事もないですし。」
「うん、結構、羨ましい成績ではあると思うけどね。俺からすると。」
「うん、ジャンはもう少し勉強しないとね。それと、確かに生徒会の動き、怪しいね。面倒くさいことにならないといいけれど。」
それにしても、副会長ですか。
今期の生徒会の副会長といてば、テイラー・ロジウム。
それこそ、【ロジウム】の貴族である、モーリーの実家からみれば、まさに寄親にあたるし……
それこそ、うちも【ロジウム】と縁の強い貴族家である。
モーリーの方をみると、ゆっくり首を横に振っている。
面識がある程度なのね、やっぱり。
でも、テイラー先輩が、単にリードに擦り寄りたいだけなら、【ロジウム】に直接縁のある俺やモーリーに声をかけてくるはず。
ぶっちゃけ、パールには話をしているが、パールを介してワーランド家に介入を企む貴族家の子弟は、俺とモーリーでしっかりチェックしている。
パールの入学時、この学生寮でもパールの扱いは腫れ物にさわるようなところがあったが、その対策も、リードからの依頼をもとに俺達が対応してきた。
まあ、だから、パールが、俺達二人に懐いているんだけどねえ……
頼むからリードを怒らせるような真似はやめて欲しい。
そんなの、政治でも腕っぷしでもリードが勝つに決まっているし、そんなトラブルがなくても、俺もモーリーも働き場所は確保していて何も問題はないんだから。トラブル解決に面倒くさい思いをするだけ、無駄じゃないか。
この1年間で、そのことをパールも理解したんだろうな。パールは、何とも言えない表情で、俺達に向かって肩をすくめて見せた。