ジャン・クローズ(7)
しかも、リードが、就職先を斡旋する……成人後、実家から離れても生活できる保障ができるし、リード側もそこそこ貴族関係の裏の薄い、しかしきちんとした人材を確保できる……という、ウィンウィンの関係があるということだ。
どう見たって、良い企みじゃないか、ふふふ。
まあ、逆にいうと、それ以上の深い企みはない。だって、ここは、実家のサポートも薄く王都に部屋を借りられない下位貴族の子弟が集う寮だから。ふふふ。当たり前のことではあるんだけど、ちょっと泣けてきたぜ。
ちなみに、平民出の子ども達はどうかというと、王都に居住するか、王都にしっかり居住地を確保できるような商人達の子が集ってきているので、あまり寮には平民はいない。
王立学園の生徒社会のヒエラルキーをみると、ある意味、D組って最底辺なんだよね。残念ながら、そこに高位貴族のクラスや生徒会のような、下種な陰謀や勢力間の足の引っ張り合いはない。ただの人間関係や勢力間の妬みや誹謗厨房から発生するような、普通のトラブルばかりである。
そして、うちのクラス(3年D組)は、前述の通り、俺達、学生の一番の悩みである成人してからの身の処し方という問題が解決しているので……
杖に、残念だが、ここはそういう空間ではないのだよ、パール。お前、そこそこいい奴なんだから、いい加減、そのことを理解してくれ。
「……一応、云っておきます。
この前、生徒会の副会長から声をかけられました。一度、生徒会室で話をしてみたいって。僕は兄とは関わりがないことはご承知なのですかと問いましたが、それでもと。」




