エーベル・ロークライ(1)
明日から新学期。私達は王立学園の第3学年に進級しました。リード君は出席日数が微妙ではあるのですが、問題なく?同じように進級しています。してるよね?
今日は、アマンダ様とジェシカと一緒に「お茶」しているところです。おいしいお茶やお菓子をいただきながら、のんびり過ごしています。
「そうなんだ。相変わらず常軌を逸しているというか、そうね、リード君は、子どもとか大人とかじゃなくて、そもそも人間離れしているのね。さすがは私の義子。そのくらい、周囲を驚かすくらいのことをしないと、ジェシカに相応しくないわ。」
「ちょっと、お母さん、私に相応しいかどうかって、常軌を逸しているかどうかなの?」
「あははは、流石にお義父様(前ソロム侯爵)の寵愛ぶりから考えると、どうにも貴族社会の魔の手からは逃れられないかもとは思っていたけれど、まさか、リード君が、そんな悩みを吹き飛ばしてくれるなんてねえ、ふふふ。
エーベルちゃんも、リード君とジェシカに付き合うのって、あんまり冗談じゃないんでしょ。その常軌を逸しているところが魅力的で。」
「もう、アマンダ様、私を変態みたいにいわないでください。でも、云いたいことは分かります……」
ソロム侯爵家の館で、事実上の館の主人であるアマンダ様は、おそらく、半分からかい、半分本気で私に話を振ってきました。
ちなみに、「リード君とジェシカに付き合う」というのは、リード君の第二夫人の座を狙うということで、この場では冗談として取り扱っていると思います。
実際のところ、一般的にみると、私の立場(高位貴族の一員)や年齢を考えると、もうそろそろ具体的な話をしていてもおかしくはないのですが。