50階層・【サリウムの迷宮】(4)
無事、50階層まで降りてきました。
いえ、コルテさんの履歴があるので、コルテさんの力を借りて一気に50階層まで降りています。
魔石は……まあ、たっぷり自分の分を持ってきていますので。あ、コルテさんが呆れた表情でこちらを見ている……無視無視ということで。
50階層の階段区画では、小さなキャンプ装備が準備されていました。
【サリウム探索者協会】から派遣された3人組パーティー【猫夢の会】の皆さんです。もともと宿泊装備のお願いをしていたのですが、やはりサリウム伯爵家からの圧力で、最深層までいける3名しか迷宮の出入口を通してもらえなかったとのこと。
なぜ押し問答になっても一部の探索者は迷宮に入れるのか。
【迷宮】の管理は、国内どの地域でも、伯爵家の騎士団と探索者協会が共同で行っています。うち警護面では騎士団が、運営面では探索者協会が行っているということで、必要最低限の人員までも【迷宮】に入らせないということは考えられません。
というより、迷宮を閉鎖するという感覚自体、この国にはないと思います。
例外は、昨年の【魔獣暴走】対策のみで、そのときは誰一人【ソロムの迷宮】に入りたいなんて思わなかったでしょう。
その対策のため、【南の大迷宮】の数階層が騎士団に占有されてくらいでしょうか。
「階層主部屋の近くの安全区画を拠点にした方が良いのですか?」
「そうね。そう距離があるわけではないけど、【騎士団】がくる可能性もあるから、安全区画のほうが安心じゃないかな。」
「【騎士団】はそこまでしてきますか?」
「いや、【騎士団】は領内の混乱への対応のため、【迷宮】対応は結構手薄なの。ただ、階段区画であれば、ひょっこり顔を出してきて、そのとき私達と遭遇した際、いらぬチョッカイを出す可能性があるから。
逆に、階層区画以外には、どこにも来ないと思うよー。
でも、本当に2日程度の装備で問題ないの?」
本当は腰を落ち着けてじっくり迷宮攻略に勤しみたいところだけれども、サンプルを早急に確保することが最優先だし、休暇中に戻らないと、皆さんに何を云われるか分からないしね。