(王立学園園長)サーザイト・フォン・ロルドベイル(1)
私はサーザイト・フォン・ロルドベイル。
歴代、【南の国】の王立学園について、王命により管理を任されています。
なお、園長の位置は世襲にはなっていません。私のように学園園長を兼ねる者も多いですが……と、中年の一人語りなど、誰も求めておりませんよね。
本校の生徒に、リード・フォン・ワーランド子爵が在籍しています。
なお、本校の主な在籍対象は、「貴族家に関わることが想定される者、つまり、国や地方での仕事を行う予定の者」です。家の都合もあり、まれに貴族家当主が在籍することもあります。
たとえば、昨年度ではダルトーム家の姫君であるとか、伯爵家の後継者が15歳時に子爵家を引き継ぐ場合が多いです……と、中年の一人語りなど、誰も求めておりませんよね。
つまり、リード・フォン・ワーランド子爵……リード卿のように、【魔獣暴走】後の御家騒動の後、現当主と後継の筆頭候補(長子)を押しのけて、貴族家の当主となる者など、想定していません。というか、過去にも例がないし。
もともと、【南の国】最年少のB級探索者、まあA級もなんですが、かの【オールラウンダーの弟子】が【魔獣暴走】時に相当の活躍をしていくにあたり、周囲の生徒を騒動から守るため、研究所に在籍し、非常勤で講師をしていたニコル・フォルマッテ氏を採用したことは適切な判断だったと思います。
「リード卿、本当にどうしてそんな事を知らないのですが、と何度も思いますが、一方で、本当にどうしてそんな事を知っているのですが……、とも何度も思います。知らないは、学び機会がなかったため、ということでしょう。では、何故、知っているのか、その辺りが気になるところですね。」
「経験です!(きっぱり)」「……」
「それにしても、園長先生、ご自身が講座を持ってくれるとは思いませんでした。僕のように、補講が必要な生徒はやはり出てくると思うので、持ち回りで先生方が対応してくれるとは思っていましたが、やはり人の確保が……」
ちらちらとリード卿がこちらを伺っています。私は少しため息をつきました。




