転生後の独り言(3)
多分に、二つ名で呼ばれると若干不機嫌になるギルドマスターへのあてつけの要素も強いと思います。ただ、いわれて僕自身も思ったのは、本当にオールラウンダーならともかく、「君っていわゆる器用貧乏だよね」っていわれている気がしてあまり面白くありません。
実際に、僕自身は「索敵 → 不意打ち(爆発)」の中で身に付けた索敵能力と魔力操作が取り柄であって、本当のところオールラウンダーでもなんでもないので……
先生も、そう思うところがあるんでしょうね。
話はそれました。
【ダルトームの迷宮】と【南の大迷宮】の20階層には、いずれもほとんど魔獣はいません。使用頻度が高いため、魔獣が生み出された途端、駆逐されてしまうからです。
そのため、ソロでも行動が可能でした。
【南の大迷宮】の階段エリアで、ワーラントからの転移先の迷宮の階段エリアをイメージしながら、階段エリアのスロットに魔石を挿入したところ……そこは見慣れた迷宮の姿がありました。
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【一ノ月】になると、家庭教師のマノン先生の講義が平日の午前中に入ります。
つまり、日中ずっと外出することができなくなるわけです。これまで、【ダルトーム】まで往復2~3時間をかけて移動していたのが難しくなったわけです。
一方、【南の大迷宮】の20階層には、すぐ行けるようになりました。そして、変な話ですが
【南の大迷宮】(ワーラントの迷宮から徒歩1か月)を経由して【ダルトームの迷宮】(ワーラントの迷宮から徒歩1「日」)にいけば、あっという間に領都【ダルトーム】に行けるようになりました。
つまり、マノン先生の講義を受けながらでも、コンスタントに領都【ダルトーム】に行くことができるようになったということです。
生活範囲を領都【ダルトーム】に広げたことで、いろいろな社会の疑問点を持つようになりました。
マノン先生には申し訳ないけれど、先生の課題は夜のうちに熟しておいて、講義中はずっと先生を質問しているというパターンになってしまいました。
でも、これでやっと、この世界の、社会情勢や経済状況、そして、「常 識」が分かるようになってきました。
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【五ノ月】には、家人とマノン先生が12歳の誕生日を祝ってくれました。なぜかこの日は父であるエーデ卿が離れに顔を出し、「来年の学園に向けてがんばれ」といって帰っていきました。
学園に在籍するのは、13歳から16歳の4年間。どうにもその間は養育してくれるようです。