転生後の独り言(2)
実は、ワーランドからの転移先の迷宮は、最寄りである【南の大迷宮】の一部ではないかと仮定しました。(最寄りといっても、徒歩で約一月かかる距離ではありますが。)
だから、【ダルトームの迷宮】20階層 → 【南の大迷宮】20階層 にいければ、【南の大迷宮】20階層からワーランドからの転移先の迷宮に戻ることができます。
そうなのです。徒歩で約一月かかる王都に、我が家からすぐ行けるようになるのです。
あと、装備自体には問題ないのですが、手回り品や食事の調達にはやはり費用がかかります。
でも、大迷宮の深層エリアでしか採集できない魔石をワーランドのまちなどで取り扱うと、あっという間に足がついてしまいます。
【ダルトーム】で迷宮産の物品の売買をしようと思うなら、やはり【協会】へ登録して探索者になるのが早道でしょう。そう考えたわけです。
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【ダルトーム】の探索者協会には、何故かアーチボルトさんがいました。
僕の家庭教師を首になって、いよいよ悠々自適に生活しようと思っていた矢先、ダルトーム伯爵家に嵌められて協会長をさせられることとなったそうです。
先生は、間違いなく、権力者の方にとんでもない義理(弱みともいう)を握られているのだなあと確信しました。
11歳の僕は、はじめからC級のパーティである【悠々自適】に加入しました。理由は、パーティメンバーの皆さんがギルドマスターの知人であり、自分の兄弟子たちであったということです。
なお、登録は「リー」という名前で平民扱いで登録しました。
先生はいつも「リー」と呼んでましたしね。
さてさて、何しろ、僕の迷宮内での索敵能力は異様なほど高くなっていました(主にゴ〇ブリ対策のため)。移動能力も高いです。そして、武器は刃渡り50cmの小剣ですが、決して折れない欠けない強靭な剣です。
それもそのはず、ワーランドからの転移先の迷宮で、魔蟲に倒された探索者の遺品でしょう。
スロット付きだったので、例の魔石を挿入するとあら不思議。大迷宮の深層でも活躍できる超一級の武器が復活してしまったわけです。
そのため、ここでの僕の戦い方は、索敵 → 不意打ち のコンボがメインとなりました。
粉塵爆発ですか? いやあ、みんながいるところで使うわけないじゃないですか。
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僕が20階層まで経験する頃には、平凡な少年ながら、鋭い索敵能力と高スペックの魔術術具を使いこなす姿から、C級ではあるけれど【オールラウンダーの弟子】という二つ名(渾名)で呼ばれることが多くなりました。