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(伯爵令息)ベント・サリウム(4)

 【王都】 ダルトーム邸


 先に、ダルトームのトルド宰相と会ったとき、その存在感を受けて、表情を殺しきれなかった自分がいた。強化された【魔眼】の影響であり、できるだけ表情に出ないよう訓練をしておく必要があると思った。

 逆に云えば、トルド宰相を前に一度驚くことができたという経験を得ることができたのは、自分にとってとても幸運だったことに違いない。そう二度も三度も味わえる経験ではないのだから。


 ……14歳の少年の姿をしたリード卿をみて、驚いてしまった。


 対面している少年の姿をしたリード卿も、目の前の男が自分をみてアングリとしている様に驚いている様子である。まあ、驚かれる心当たりが全くないのであろう。


「ああ失礼、リード卿でしたな。私はサリウム家のベントと申します。エミリ卿からの助言で、大迷宮の地下の開発に携わらないかと依頼を受けていまして。

 リード卿とお話したうえで、実際に携わるかどうか考えようと思った次第でして。」


「……それは、それは。僕は、いろいろあって子爵の位にいるもので、サリウム伯爵のご子弟とお話するのも、恐れ多いというか、なかなか。」


「いえ、私はいつも『このような口調』でして。どうか、お気遣いなく。」


 俺も早々に切り替えた。

 俺の見立てによると、目の前の少年は、壮年の文官であり、騎士であり、そして、一流の冒険者だ。

 そして、この男を一流足らしめるのは、生まれでもなく才能でもなく魔力でもない。知識と「経験」によるものだ。

 魔力量は兎も角、俺の【魔眼】が捉えた、その濃密な気配は、ダルトーム随一の曲者くせものであるトルド宰相に、勝るとも劣らないものだった。


 14歳の少年に「経験」? あり得ない。

 しかし、あり得ないことが実際に起きている。つまりは、この男、何かの異能(・・)も持ち合わせているということだろう。おそらく短期的に経験を取得できるというような例の能力か。


 リード卿に同行したエミリ姫とトルド宰相は、俺の微かな表情の動きから、改めて、自分達の味方であるリード卿の異能・・ぶりを、何となく感じ取った様子であった。

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