(騎士)オスカー・ベルグランド(2)
俺が校外活動として選んだのは、探索者としての活動だ。
探索者の仲間達は、はじめは、ちょっと変わった王立学園の学生として俺のことを捉えていたが、何度か一緒に【大迷宮】に潜る中で、俺を新米探索者の一人として受け止めてくれていた。
年に何人か俺みたいなのがいるらしい。
というか、それは結構、俺みたいなのがいるということだ(苦笑)。
王立学園を卒業する頃には、中堅の探索者と同等の活動ができていた。
俺は、座学の成績も悪くはなかったが、やはり学内においては剣士として優秀な者として評価され、卒業後は、いきなりダルトーム騎士団の従士として働けることとなった。
ダルトーム騎士団は実力重視……とはいっても、騎士団の仕事は多岐に渡る。
領内の警護や、伯爵家家人の護衛といった役割もあり、四六時中、【ダルトームの迷宮】と相対するという訳にはいかなかった。
その点、探索者稼業は、気が向いたときに迷宮に潜る。魔獣と相対し自分の実力を磨いていく。魔石を得て金を稼ぐ。そういう行動類型となる。こっちの方が俺には向いていたかなあ……
とはいっても、俺みたいなのを受け入れてくれるのが、ダルトーム騎士団だ。
当然ながら、だいたい俺はいつも迷宮の最前線を希望し、結構早い段階で騎士に昇格した。
◇
御屋形様が、従士として幼年のリード君を騎士団に連れてきたときは唖然としたが、あの【オールラウンダーの弟子】だ。
当時、すでにB級冒険者であった彼を侮るものは、ダルトーム騎士団の中にはいなかった。と思う。
(入ってきたばかりの従士級だと、妬みや侮りを持っていた奴がいたかも知れない。)
【ソロムの魔獣暴走】の時、誰よりも最前線で、誰よりも危険な目に合う中、あの【災厄】多頭大蛇と相対したのはリード君だった。本人は全くそのことを主張する気もなさそうだったが、その佇まいはまさに英雄そのものだろう。
【魔獣暴走】鎮圧後、次なる【魔獣暴走】の発生は絶対阻止する必要がある中、ある程度運用が可能で、しかも、相応の能力を持つ高位魔装について、その性能を十二分に引き出すことは非常に有用で、効率的であった。
そのため、【災厄】と対峙した騎士達の中から、今回、【王の矛】とも名付けられたダルトームの宝具である強化装甲の機能強化に携わることとなった。