(メイド)レイラ・アンデライト(1)
南歴308年【四ノ月】
私の名前は、レイラ・アンデライト。騎士爵家の次女です。
そろそろ婚期を迎える14歳です。
領主宅の家人の枠があったことから、10歳からメイドとして仕えています。
生来、根が正直者で、思ったことをお伝えすることも多く、
「レイラ、私は、まあ、あまり気にならないのだが、家の中で物事を荒立て過ぎだ。まあいい、お前にはリードの世話をしてもらうことにする。」
との御屋形様の指示により、妾腹の次男坊のお世話をすることになりました。
決して御屋形様に奇妙な性癖があったわけではなく(まあ詳しいことは知りませんが)、御屋形様と私は、コミュニケーション的にそこそこ相性が良かったのでしょう、家の都合もあり、少し私の地がでても大目に見てくださっていたのですが、周囲はそうはいかなかったのです。
領主家の次男坊リード様は、いわゆる平凡な方で、私より4歳年下になります。
容姿も平凡であれば、才能も平凡。貴族の方には秀でている場合の多い魔力についても平凡。
強いていうと、風と火属性が多少でも扱えて、多少でも身体強化に魔力を巡らせるというのは、どちらかと言えば騎士寄りのパターンですね。
性格は……そうですね。もともと、あまり喋らないけれど、領主家の方としては、そんなに高慢な方ではありません。
リード様が幼いときからお仕えしていますが、さして我儘も申されません。
ただ、領主家の次男としては、扱いはあまり良くないというか。兄のウェデル様との仲もお世辞にも良いとはいえず~というより露骨に見くびられている感じ~引きこもって本を読んでいることが多い方なのです。
本来、私のほかに平民出のメイドもお仕えするのが相場なのですが、お母上も早くに亡くなられて肩身も狭く、経費削減なのでしょうか、リード様は身の周りのことを自分でされるため、メイドは私一人きりです。
私としては、どこかの家に嫁に行くまでの期間の仕事ですので、我儘を申されないリード様にお仕えしている現況はとても満足しています。領主家のメイドネットワークで友人たちの話も良く聞きますが、メイドというのは、まあ、結構、理不尽な物言いをされたり、セクハラされたりと大変みたいなのです。
その意味で、友人の皆様方にも羨ましがられているのが、この私のポジションなのです。
4か月前、リード様が体調を大きく崩してしまいました。
ずっと高熱で魘されていた状態が2~3週間続きました。お医者様も「ことによっては……」と仰られたものの御屋形様はお見舞いにくることもなく、リード様の家人のみでお世話をしておりました。
その後、リード様の体調も落ち着かれ、やっと意識も戻ったのですが。
今度は、なぜか領主家の管理する迷宮へ籠られるようになってしまいました……