新学期のイザコザ(1)
南歴311年【十ノ月】
王立学園は【王都】の中心にあります。
ここの周辺には、【南の大迷宮】への入口や、【探索者協会】の本部があり、大迷宮から産出する魔石や探索者の武具関係を取り扱う商店が立ちならぶ繁華街も隣接しています。
【南の大迷宮】の入口を監視できるよう、やや距離の離れたところに、巨大な【王城】があり、その広大な【王城】を取り巻くように、多くの貴族の館が立ち並んでいます。
僕の居室は、そのうちの一つであるダルトーム辺境伯の領主館の一室となっています。
個人的には、これまで同様、ダルトーム騎士団の士官として借りていた部屋で十分良かったのですが、さすがに子爵に叙爵された身であり、騎士団員と一緒に寝泊まりするというわけには行きませんでした。
なお、都市内の移動についても、本来であれば馬車の使用が望ましいのです。
しかし、自分の身の周りの世話をする従士はこれまでおらず……ニコル嬢、いえ、ニコル先生には、戦場でもないのにそんな真似はさせられませんし、自分の事は当然自分でしますし……家人といえば、ワーランド領でしっかり仕事をしてもらっていますから。
食事については騎士団の食堂、洗濯は領主館の侍女、部屋の掃除は自分で行っています。式典への出席等の対外調整は、騎士団の事務方に調整してもらっています。
お気づきでしょうが、ようするに自分の直属の部下や家人にあたる者は一人もいないのです。そちらは、ワーランド領のウェリス先輩に対応をお願いしています。
だから……、こんな不幸な……、一連の事件が起きてしまったのだと思います。
(注意 そんなに不幸でもなければ、事件でもない。多分。)
◇
王立学園は1学年280人7クラス。4学年で約1,000人の学生が集う学び舎です。
クラスはA組からF組に分かれており、特にA組には、【南の国】を統括する侯爵家・伯爵家とそれを支える高位貴族の子息が集まります。
「なあ、ワーランド、お前みたいな成り上がりが、なぜ、A組にいるんだよ。とっとと、もとのD組に帰ればいいじゃないか。ちょっと領内にお宝が見つかったからといって、デカイ顔をするんじゃねえよ。」
といつもの面子が……
リード君、学園第2学年の2学期がはじまりました。
火、木、土曜日と投稿していきたい……感じなのです。