(筆頭侍女)レイラ・アンデライト(5)
申し訳ありません。
(4)が投稿漏れだったため、対応しました。(2023/5/21 20:20)
思い返してみます。
アーチボルトさんが家庭教師を辞するとき。
その【オールラウンダー】アーチボルトさんから送られた腰帯、おそらく、相当、高位の魔装でした。その魔装の能力は、館と領都【ダルトーム】の間をずっと駆け抜ける程の、想像できない程のものでしたが、その魔装と、深層の魔石を組み合わせる事で、少年であるにも関わらず、一流探索者と同等の力を生み出してきた……
「レイラ、どうしたの……?」
「……」
「結構、重要な秘密でもあるから、他言はしないでほしい。その顔色をみると、リード君について、少し不信な部分を感じたのかな……。ただ、誰にも云えなかった内容ではあ……」
「リード様は、そんな危険な魔石を、あの腰帯に挿入していたのですね。アーチボルトさんは、もう、リード様の指導を辞めていたのに……」
アーチボルトさんは、本当に著名な一流の探索者でした。
その彼の持っていた深層魔装を、アーチボルトさんがリード様に譲ってくれたことは、私としても非常に嬉しかったのです。でも、そんな、「高位の魔石」程度では話の済まない、深層の魔石を差し込む前提なら話は別です。
「もし、リード様に、万一の事故があったら、アーチボルトさんはどうするつもりだったのでしょうか!
リード様が、うまく魔装を使いこなしたから良かったものの、普通、学園入学前の子供に、そんな危険な装備を預けるなんて、大人としてあり得ない!」
確かに、リード様は、入学前の時点で非常に大人びて、世の中を達観していた少年でした。でも、だからといって、リード様が危険な状態になる恐れがあることを、大人が促すのは、やはり間違っていいます!
「ああ、そっちの方なのね。君からみれば、リード君は、血を分けた弟のようなものなんだよねえ……」
ウェリス様が、少しあきれた口調で呟きました。
いや、リード様は私の生活を支えてくれる主ですから……、そうですね、付き合いも長いですから、私自身が優先だけど、やっぱりリード様には幸せになってもらいたいのです。