「総括の場」(10)
後ほど、もう1話を投稿します。
19時を予定しています。
「秋の交遊会」はほぼ最終局面を迎えており、これで日程をほぼ熟すことができた……と、ほぼ全員であろう参加者が思っていたところに、アルト・フォン・ケイロン男爵の退場劇。
「諸卿には申し訳ないが、「総括の場」を続けさせていただこう。」
宰相トルドが参加者に一声かけて、御屋形様を促しました。
御屋形様はワーランド領の面々を一瞥し……何か文句はあるか?ないよな?というメッセージが含まれているような……引き続き、話を進めることとしたようです。
「さて、先に申したとおりだが、今回の【ソロムの魔獣暴走】鎮圧にあたって、その勲功の一位は、まぎれもなく我が騎士団を率いて、【災厄】多頭大蛇を討伐したウォード・フォン・サリウス副団長である。
ウォード、お疲れであった。」
「はっ!」
ウォード副団長は小さく頷きました。
「事実上は、ダルトーム騎士団の拡充を進めることとなる。
さて、諸卿よ。ダルトーム騎士団は、これから【王の矛】として、【南の国】を守っていくため、魔獣対策もそうではあるが、万一、他国と揉め事があったときに備え、騎士団を大きくしていく必要がある。」
ここ……この世界は、【北の国】、【東の国】、【南の国】、【西の国】の4つの国に分かれています。
中央の【大樹海】を中心として4国が配置しています。各国の王都に【大迷宮】が鎮座しています。
そして、どの国も【大迷宮】を相対せねばならず、そして、【大迷宮】からの富で国を成り立たせているため、基本的には国境で多少の小競り合いがあったとしても、国同士の仲が悪い場合があるにせよ、双方の国の騎士団が正面から激突するという、いわゆる戦争状態になったことはありません。
【大迷宮】があるから、国が成立しているのです。
迷宮が生み出す魔獣は、人々の生活にとっての危険であり、その魔獣から取り出される魔石は、人々の生活にとってのエネルギーなのです。
各国、各領の騎士団は、人々の生活にとっての『危険』に対抗する存在です。
そして、各国、各領の探索者は、人々の生活にとっての『エネルギー』を獲得する存在なのです。




