「総括の場」(7)
「今回、騎士リード・ワーランドを、騎士団の筆頭の席に座らせている。騎士リードに対しては、妬みの要素も含めて誤解もあろうと思う。今回は、なぜあの席に座らせたか、その理由を伝えたいと思う。」
ワーランド家の面々の表情をみていると、軒並み、どうせリードはうまくやったのだろう……「最大の権能を、最小の義務で交換する」……と考えているに違いない。ほら、ちらちらとこちらを見ては、僕と視線があって、それとなく視線を逸らしている親族の面々がいます。
「騎士リードは、宝具【翡翠の大鎧】の主操縦者として、もっとも長時間、災厄【多頭大蛇】と対峙し、騎士団の楯となって多頭大蛇の鎮圧に貢献した。
また、他方では、A級探索者として、【南の大迷宮】50階層より下層にある深層の魔石を約千個供出した。この魔石により、【ソロム】の防衛線が宝具にて維持し、都市【ソロム】への被害を最小限に留めた功は非常に大きい。
知る者も多少はいるかも知れないが、【大迷宮】深層で確保できる魔石は、極めて純度の高いシロモノだ。王の持つ宝具についても、この深層域の魔石で稼働させたからこそ、その効果が発揮されたのだ。」
げげげ、御屋形様、僕が協会に供出した魔石が、深層由来の魔石であることをいっちゃったよ。でも、浅層域と深層域の魔石の違いなんて誰にも分からないか。特に客観的な指標なんてないわけだから。
「ちなみに、魔術研究所が現在調査を行っているが、推定でも魔力含有量が数十倍の違いはあるのでは、という見立ても出ている。ダルトームに居る諸卿なら、意味はともかく、その価値は分かるであろう。」
いっちゃったよ。というか、僕も聞いてないよ。主任研究員のフォルマッテ嬢、後で覚えとけ。
残念ながら、痩せても枯れても魔獣と相対する辺境地域の貴族達。
魔石の純度が違うということは、魔獣の危険性が違うということを知っている。
GWも終了間近ですね。
土・日曜日は少し長めのものを投稿しようと思います。