「総括の場」(1)
時間が空いてしまって、申し訳ありません。
秋の交遊会も終盤に入りました。
領主館の大広間には、ダルトーム領内の領主達とその家宰、大部屋の脇にはダルトーム家の家人~文官と武官が並んでいます。
ここでいう武官とは、即ち、ダルトーム騎士団の副隊長以上の面々となります。
毎年恒例ではありますが、この「総括の場」が、交遊会で全体の貴族が集う最後の場となります。
読んで字のごとく、御屋形様……ダルトーム伯爵が、領内の主な課題の調整事項について、総括を行う場となりますが、実際のところは、それまでの個別の協議で物事の調整はついており、その感想と今後の大まかな方向性を示すといったところでしょうか。
昨年は、僕は姫様の護衛役の小姓として、交遊会に参加していました。
今回は、本来、すでに引退状態である父エーデの代理ということになります。
ということは、ほぼ、前方の席となり、その後方にはワーランド領の男爵家の面々が並んでいるという寸法です。
この人たちの筆頭として、この広間で席につくのは相当の苦痛のはずです。
はず?
はい、その席には、嫡男である、僕、リードのさらに代理である、ワーランド家家宰のウェリス先輩は座っています。
青ざめる程ではないですけれど、ウェリス先輩、結構、表情が固まっています。
たまに、こちらを見たり、ダルトーム家の文官達のシマの方を見たりしている様子。落ち着きがない状態ではあるけれど、一応、取り繕っているというところでしょうか。
たまに僕と視線があったりすると、ちょっとだけホッとしている様子です。
かくいう僕はどういう状況でしょうか。そう自問できる程度には雰囲気には慣れました。
僕は、今回、ワーランド騎士団の面々と一緒にいます。
はい、今回の僕の立ち位置は、騎士団員ということで、ダルトーム家の家人という扱いになります。
そして、座っている席は……副団長のウォード卿の隣。
そして、副団長のウォード卿の隣は、もう一人の副団長であるテザリオ卿が座っています。
そして……そう、僕の隣には誰も座っていません。というか、席がない。
つまり、ダルトーム騎士団の筆頭席に、貴族を差し置いて、僕、リード君が座っているという状態です。
皆さん、お元気でしょうか。
自分の体調と家族のこと。両方、大事ですよね・・・^^;